思えば、映画をよく観るようになって、「趣味は映画鑑賞」と言うようになったのはいつごろからだっただろう。自分の映画鑑賞歴をちょっと振り返ってみたくなった。
Filmarks(観た映画を記録しておけるサービス。観た映画一覧がジャケットで表示されるのが良い)に登録したのが2017年の6月だったから、そのあたりかと思っていたけど、もしかすると高校生の頃かもしれない。ゲームを「暇つぶし」ではなく「趣味」として扱い始めたのも高校生の頃だった。コンテンツ認知の変遷を感じる。
書いていたらだんだん思い出してきた。ジブリとかピクサーとかディズニーとかのアニメ映画、『ホーム・アローン(1990)』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)』などの超名作は子ども時代にある程度観ていたが、初めて「全然知らない映画をたくさん観よう」と思ったのは高校生の頃だった。金ローや土曜プレミアムを片っ端から録画して、古い映画やらマイナー映画やらを十数本は観た。
その頃に出会った映画で特に印象に残っているのは『コンタクト(1997)』や『マジェスティック(2001)』、『永遠に美しく…(1992)』あたり。ロバート・ゼメキス監督作品に魅かれている。あと、『のぼうの城(2012)』や『超高速!参勤交代(2014)』などの時代劇コメディも楽しく観ていた。
当時は冒頭で面白くないかもと思っても、知見を深めるためにちゃんと最後まで観ている作品が多くてえらい。今は冒頭10分でつまらなかったら観るのをやめてしまう。
この経験を経たあとは、だいたい自分の好きな傾向が掴めたので、TSUTAYAに行って好きなジャンルやら俳優やらをまとめてごそっと借りてきて観ていたのだった。主にSF、それからジョニデ作品。
ジョニデ作品はもちろん『パイレーツオブカリビアン』シリーズが至高だけど、『シザーハンズ(1990)』も『チャーリーとチョコレート工場(2005)』も『シークレットウィンドウ(2004)』も『トランセンデンス(2014)』も好き。デビュー作の『エルム街の悪夢(1984)』もちゃんと観た(きっかけは全然別の理由だったけど)。数えたら15作観ていたけど、多いんだか少ないんだか……。ジョニデ作品はまだまだ観たいものがたくさんある。
10代後半はずっと昔の名作を観漁っていたので、映画館に最新作を観に行く機会は数えるほどしかなかったと思う。年に2回あるかないかレベル。あんまりよく覚えていないけど、少なくとも今のほうがよく通っているのは確か。
そして20代になり、ついにネット配信サービスが私の人生に登場した。
『シャッターアイランド(2009)』に脳を焼かれ、『インセプション(2010)』を観てクリストファー・ノーラン監督作品に出会う。(その後『TENET(2020)』を映画館で観て、喫茶店で同行者と激しく考察を語り合ったりもした)『MADMAX 怒りのデス・ロード(2015)』を観た時には、映画館で4DX上映を観なかった自分の愚かさを呪った。リバイバル上映をいつまでも待ってます……。『コンスタンティン(2005)』が嫌いなオタクはいない。山コンテンツにハマっていた時期に観た『MERU(2014)』はすごかった。『華麗なるギャツビー(2013)』は宝石みたいな作品で、年を経るごとに観なおしたい。
そしてこのあたりから、高校時代の友人2人といっしょに映画鑑賞する定期アマプラウォッチパーティがはじまる。持ち寄り制度で、他の2人に観せたい映画を観せることができるので布教オタクに嬉しく、自分では選ばないような知らない映画を観られるので映画オタクに嬉しい。win-win。
『バーフバリ』シリーズ2部作のウォチパに始まり、『プロメア(2019)』のリバイバル上映を映画館に観に行ったりもした。『トップガン(1986)』と『トップガンマーヴェリック(2022)』の連続上映にも行った。マーヴェリックは4DXでも観た、最高だった……。そして『RRR』を、2回映画館で鑑賞。この布陣を乗り越えた後、我々に映画館で観られない長編映画はないという自負が生まれた。尻が強い。ウォチパのほうはそれから『ダークナイト』シリーズ3部作鑑賞後の『ジョーカー(2019)』まで制覇したりもした。もちろんここに書いてないだけで他にもかなりの数を観ている。友人ありきの鑑賞ペースなのでほんとうにありがたい。
最近はよくフォロワーともウォチパしている。前述の友人たちと一緒には観ないようなしっとり作品だったりほっこり作品だったりも観られたりして大変嬉しい。これからも断続的に続けていきたい。
こうして振り返ってみると、案外いろいろ観てきたんだなと思うし、映画が人間関係の架け橋になっていることにも気づいた。面白い。
年齢を重ねるにつれ、自分一人で映画を観るときには自分の好きなもの、好きそうなものしか手に取らなくなっているのを感じる。体力と自由時間の減少を考えるとそうなるのもやむなしと言ったところだが、ほんとうはもっとたくさんの種類のものと出会いたい。嫌いなもの、苦手なものにも出会う機会を失いたくない。自分が何が好きで、何が嫌いかを常に更新していきたいから。人生が安定した場所に停留しがちになってきた頃合いだからこそ、改めてそう思う……少し大袈裟かもしれないけど。
常に映画とともにある人生!と言えるほどの熱意があるわけではない。全然観ない期間もあるし、年間何本以上……みたいなことも気にしていない。それでももう映画は私の人生の一部だから、これからも側に映画鑑賞がある暮らしを続けていきたいな、と思う。