なんて無力なんだろう
実家へ帰った
母はかなり疲れている様子
相当心労がたたっているらしい
お使いを頼まれいつもの店へ向かった
マルボロのミディアム1カートン
番号は何番...あった
思い返せば人の煙草しか買った事ないし人の煙草しか吸った事ない
なんとなく自分用の煙草も1箱買ってみた マルボロメンソールね
購入中に父が来た
母から私の居場所を聞き、丁度近くにいたので車で来てくれたらしい 有難い
今日はとにかく母の話を聞いた
父が一緒に買い物へ行くのを嫌がる、何やってもありがとうの一言もない、外面ばかりよくて自分には何もしてくれない、あの人は金目当てで私と結婚した
...
いや、待ってよ...
きっと全ては愚痴で解決策なんて望んでない、頭では分かってる
でも、父の事をそこまで言われると黙っていられなくなった
昔からそういうところあるよね...うん...でもそれは違うよ...売り言葉に買い言葉ってヤツで...うん...うん...
寝不足だったのもあり正直うんざりした
なんであの人と結婚したんだろ
そんな話にまでなった
「でも別の人と結婚してたら私も兄ちゃんもいなかったんだよ?!?」
と返したら兄が逆子だった事、生まれる直前まで性別を内緒にして欲しかったのに看護師さんにバラされた事など聞いたのは1度や2度では無い出産秘話を語り出した
そう 親と子の関係と旦那と嫁の関係で分けて考えてるんだよね
うん......分かってる...うん...
その後、お風呂掃除を頼まれた
それで洗って!あ、ドアは閉めてね それじゃない そこじゃない...
それ、必要?と聞きたくなるような細かい指示までしてくる
自分がこの家を出た理由を思い出した
また父の話をしている
大体普通なら妻の為に夫が...
しんどくなったので私にしたら少し家族の枠外にいる祖母と叔母を槍玉に挙げてやった
なんだろう この虚しすぎる愚痴のリレー
母にしたら祖母も叔母も大切な家族のはずなのに
フライドポテトを揚げる母に、ポテトなんてマクドナルドで食べた以来だよ!と言った
そんなものずっと食べてない 外に出られないから
今は宅配で食べられるんだよ?と返したら
そういう物を買ったらその日は家事をしたくない、だけどお父さんはね ハンバーガーなんて好きじゃないから
...
その日はお父さんには外で食べてきてもらったら?
なら私も外食したい
.........
大方言い切ったのか、母はちょっと憑き物が落ちたように元気に動き出した
そう、聞くだけでいいんだ
それしか出来ないんだから
人のややこしい心情やいざこざに巻き込まれないために一人でいたのにあんまり意味は無いんだ、気が付いた
こんなに近くに関わるべき存在がいる
大体、一人でいてストレスが減る事はあっても得る物は一つも無い そう、慣れるべきだ
テレビで父の故郷の宮崎が映っていた
ここに居住してたらどんな人生になってたのかな
無意味な幻想に静かに思いを寄せたら眠気が来て、目を閉じふわふわ時間を漂う
私の帰る場所はここしかない
アパートの二年契約の更新済まそうとしてるくせにね
「やめとけ あいつはもうお前しか味方がいないのに」
一年ほど前、私が母と喧嘩した時に父が言った
それ以降、母と喧嘩しなくなった
そう これからもずっと しない
無力だ
ただ、逃げない
アパートに帰ってぼんやりしてたら 何時からだろう、アブが迷い込んでいた
可哀想に こんなところに君のご飯は無いよ
弱っているのか私の腕に留まったその子に言った
そっと外へ逃がした
達者でな
以前に続きコロッケが出た
パン粉が余っていたのでこうなったらしい
うちで採れた茄子にトマトにシシトウに
うちの味に囲まれて幸せ
母と一緒に吸おうとしたが時間が無くて叶わなかった
一人で吸おうかな
あ、ライター無いや