ねこといういきもの

toro_ponz
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ねこというと勝手気ままだとか、人間を「餌をくれる何か」程度の認識しかしていないだとか、三年の恩を三日で忘れるだとかしばしば言われる。しかし実際にはそこまで薄情でもないなと思う。

僕が小学生のころから家を出るまで十年強一緒に暮らした白猫は、僕が帰省をするとにゃあと鳴く。普段はそんなに鳴くねこではないのだが、久しぶりに顔を合わせるとおかえりと言わんばかりに一声鳴くのだ。基本的に僕は年三回程度帰省するため、大抵の場合そんな感じのお出迎えだ。少なくとも数か月離れていても、ねこはしっかり覚えているみたいである。

それに加え、故あって一年半振りに実家に帰った時は、それはもう生き別れた家族と再会したかのように鳴きすり寄ってきてくれたこともある。ねこといういきものがここまで感情を表にする様をみたのは初めてだった。僕らが思っている以上に、ねこはいろいろなことを考えているのだろう。あるいはそれを表出させないという違いでしかないのかもしれない。

今朝布団に潜り込んできて日中べったりだったのも、きっと僕が明日帰ってしまうのを看破したのだろう。決して今日がちょっと肌寒い一日だったからでも、他の帰省してきた家族がもう帰ってしまい行くところが無かったからでもないと信じたい。