移り変わるはずだけど、年はじめに掲げてみる2024年の展望

とろ火
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年が明けて一週間。早くもいろんなことが起こってしまい、心のざわざわがおさまらないのが正直なところです。平気な顔をして目の前にある世界は、決して当たり前のものじゃない。その事実を、何度も何度も突きつけられているはずなのに、僕はそのたびに世界の偶然性を忘れ去り、“いのち”をないがしろにして生きてきました。

この世界は、脆い。

だからこそ、自分は自分として生きていきたいし、あなたにはあなたとして生きていて欲しい。改めて、とろ火で掲げる「その人を“その人”たらしめるドロっとしたもの」に目を向けていきたい、と強く思った年はじめです。

そのために、なにができるのか。しなやかな覚悟を持った1年に。

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【2024年に深めたいテーマ】

◆生活者の探究

「探究」という言葉をよく聞くようにはなりましたが、なんだかちょっと敷居が高いような、真面目すぎるような、遠い存在のような…そんな感覚をずっと持っています。

でも、自分なりの問いを立てて、それを楽しんでいくって、めちゃくちゃ面白いし、もっと日常に紐づいていいはずの営みだと思うんです。

そこで、少し前から「生活者の探究」という言い回しを使いはじめてみました。

「生活者の探究」について、いろいろと考えを深めていきます。

◆語りあい

対話でも、語るでも、聴くでもなく、語りあい。もちろん重なる部分はたくさんあれど、とろ火として大切にしたい場は「語りあい」だと感じています。

まだまだ、それぞれの違いを明確にはできていないけれど。語りあいの場は、とても力の持った場になるはず。

ファシリテーション…という言葉はあまり好きじゃないですが、語りあいの場をどうやったら良いものにできるのか、も考えていきます。

◆生きのびあう

これは少し毛色が違いますが。ドロっとしたものを掻き消す、何よりも大きな圧力って「このままじゃ生きていけない…」だと思っています。

でも、それは正確じゃなくて。何度も引用していますが、穂村弘さんの『はじめての短歌』に出てくる表現を借りれば、「このままじゃ生きのびられない…」が正しいはず。

端的に言えば、お金を稼ぐためにドロっとしたものを犠牲にしている、ということ。他でもない僕自身に、この側面が多分にあります。

でも、生きのびるために、僕という存在を生きることをないがしろにして良いはずがない。けれど、生きのびないといけない。

だったら、生きのびるための苦労を分かちあって、「生きのびあう」ってできないのかなぁ…がことの発端です。生きのびあう道を探っていきたい。

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【2024年に新しくはじめたい活動】

◆ポッドキャスト「ほんとのはなし」

ドロっとしたもの…とは言っていますが、それを探り当てるのは難しい。ああでもないこうでもない、の先でようやく指先が触れるものだと思っています。

だとすると、いまの自分にとっての「本当の話」を話す機会・聞いてもらう機会が必要なのではないか。そのための場って、意外とない気もして。でも、その中身って、その人の輪郭が現れる気もして。

単純に、僕がいろんな人の輪郭に触れてみたい…というだけなのかもしれませんが。みなさんの「本当の話」を聞きたいと思っています。

そして、同時に。みなさんの「本との話」も聞きたい。これは完全に個人的なこだわりですが、その人の好きな本を知ることが、その人を垣間見る一番の方法だと思っていて。本の話ではなく、どんな本と生きてきたのかの「本との話」を。

この活動は、僕と同じく本好きの妻とふたりでやってみようと考えています。夫婦として、いろんな人の話を聞きに出かける機会にできたら。

◆とろい読書会

ひとりではなかなか読破できない本&理解が難しい本を、月イチ×半年間ほどかけてゆっくり、じっくり読み進めていく読書会。

骨太な本だからこそ、分かちあいながら、ゆったり読んでみたい。いろんな本に出会うのももちろん、一冊を読み込むのも同じくらい尊いはず。

一冊目に選ぼうとしているのは、ティム・インゴルド『生きていること 動く、知る、記述する』です。

友人から勧められたものの、600ページ超え、お値段も約5,000円と、手を出せずにいたんですが、この本には「ドロっとしたもの」に通ずるものがありそうだなと直感し、選書しました。

1月下旬に行いたいと思いますが、詳細は後日に。

◆生きのびあう研究会

まだ具体の内容は考えてられてないんですが、「生きのびあう」ためにはどうしたらいいのか、を考える場を開きたいと思っています。

そこでの繋がりが、もうすでに生きのびあうための一歩だし、いろんな思考から生まれる動きは、より芯のあるものになるはずで。

生きのびあって、一人ひとりが生きていけたらいいな。

研究会の派生かもですが、生産者さん(一次産業に携わる方、かも? 僕のなかでどちらがいいか悩み中です)にお話を聞きに行く…という活動もやりたい。

生産者さんって、雄大な自然、ひいては途方もない“いのち”に触れている方々だと思うんです。その営みで感じているものたちは、「生きのびあう」の根幹になるのではないか。直感的にそう感じています。

こちらも、詳細はまたお知らせできたらと。

◆本屋さんとしての、とろ火書房

図書館としては小さく動いていますが、本屋さんとしても動いてみたい。でも、店を構えるのではなく、移動式だったり、間借りで週1日5冊だけ扱う形だったり…ちょっと変わった形でできたらいいな、と考えています。

やっぱり、本が好きなんですよね。新刊リストを眺めているだけで、うっとりします。そして、「えい、買っちゃおう!」と決めたときの高揚感。何物にも代えがたいですよね。

僕自身がその感覚を感じる機会にもなるし、好きな本を買ってもらえる高揚感も味わってみたい。

どういう形になるかわかりませんが、地道に仕込んでいけたらいいな。

◆季節の行事を味わう会

だいぶ毛色は違いますが。日本には、たくさんの季節行事があります。あまり詳しくはないですが、やはり四季がはっきりとしていて、その移ろいを味わうために、昔からあるのだと思う。

いまも風習として残っているもの、知識としては知っているもの、形だけのこっているもの…さまざまありますが、いろんな季節行事は、大袈裟じゃなく、世界をこの身で感じることなのではないか。

これに関しては、妻がとても興味関心を持っていて。どんな形でやっていくか、思案中です。仕込み中なので、最初は2月のなにかかな…!

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やってみたいことはたくさん。でも焦らず、なによりも日々を大切に。

飛躍の1年なんて掲げず、ただ嘘のない歩みをひとつひとつ選び続ける1年にします。

2024年も、どうぞよろしくお願いいたします。

@torobi
その人を“その人”たらしめるドロッとしたものを探る活動です。つらつらと語りあう「とろ火をかこんで」や、取りさらわれる本と出会う「とろ火書房」など。 X:@as_milanista Insta:www.instagram.com/sts_akt