私にとって最初で最後の柚香光・星風まどかである。アルカンシエル。私が舞台沼ドボンしたきっかけは東宝版2015エリザベートなので、イケコの演出を好む女であった自覚はある。宝塚ではポーの一族は実に良かった。耽美で退廃的な危うい世界観。ただ、御大の最近のはちょっとわかんねぇなと思っていた。特にオリジナルに関して。
嫌な予感は当たる。というか、初日あたりから見ていた少し批判的な感想を「あーーーー…確かにね、そうだわね」と共感した。その辺り書いておきたいと思う。私の気持ちの記録として。
念押しするが、役者たちは本当によくやってた。与えられた台本を見事に演じていた。なので、これは脚本と演出についての話。
今作のアルカンシエルはナチス占領下〜解放までのパリが舞台なので、まぁ戦争の香り漂う世界。戦地にはならない分、ナチスの影響をもろに喰らう人々の生活が描かれる。主役2人も拷問されたり、戦地慰問に連れていかれたり散々ではあるし、なんなら2番手はドイツ兵(協力してくれたりするいい人だけどね)だし、バリバリナチスの軍服きてる登場人物がたくさんいる。私が一番びっくりしたのは、舞台セットに鉤十字の旗が掲げられてる時間があまりに長いこと。なんなら私たちは2幕頭にその旗がかかった舞台セットと緞帳を撮影できる。…いいのか?色々問題にならんかな?
今って世界的に観たら結構な戦時下じゃん?しかもなんかナチズムって今このご時世も戦争の口実とかなんかに出されてしまうので微妙にセンシティブなんじゃね?などと…(でもフリューゲルもナチの話だった?観てないからわからんな…)
ただねー!ドイツ国防軍の味方ポジ的な永久輝せあさんがめちゃくちゃよかったんよ。次期トップコンビ2人ともとても可愛かったし品が良かったし、あれはよかったですね…楽しみだよ。
で。パリのレビュー劇場が舞台、主役は花形ダンサーのマルセル、ヒロインは歌姫カトリーヌというわけで、話の合間にレビューシーンが入る。これが絶妙に話を間延びさせる印象がね…なんつーか…いやこれは好みの話なので…うん…私が好きなのは舞台全体を使って複数の場面を同時並行で見せたりするやつなんですけど(伝わる?ディミトリのトビリシ奪還みたいな、RRRのドスティ的な、ボイルドドイルのシャーロキアン出てくるような…)それってレビューシーンやりつつ、芝居パートを銀橋、花道、盆回したりしてできるやつやん…?だめ?…かと思うとそういう場面出てきたんだよね(2幕の後半にある。振り付けの先生がここはその他多くのシーンとは違う方だった)この方式でうまくまとめられたら1幕ものにしてショーができたやん!!!!!惜しい!!!なんなの、イケコは2幕モノしかやらん主義?柚香光という華やかなショースターの退団なんだからしっかりショー見せてくれよ…などと思いました。うん。
あと舞台上の空白がすごい。カトリーヌのドイツデビューもあんなに奥でやる必要あったか?舞台を裏から見るという構成なのはわかるけど…2階から観たせいか、特に舞台の奥行きがよく見えるのでな、舞台奥に常にある空白が気になって仕方なかった…舞台セットもかなりシンプルなので尚更。マルセルの部屋の時はセリの中にある部屋セットみたいなの使うときとか、周りの黒い空白がな…ポツンって感じで、それはそれを狙った演出なのかもしれんけど寂しかったよね…
などと!思いました!!が!役者陣は頑張っていたんすよ!!そりゃもう。でもあかさんが演技頑張ったとて微妙に伝わりにくいものはあるし、ほのかちゃんにはせっかくだから誰かと演技させたかったな…さみしいよ。
退団公演なので、引き継ぎっぽいシーンとかフレーズが色々散りばめられていた。それが時々現実に戻される感があったんだけど、そういうもん?fffはそういうのあんまり感じなかったけど、退団公演ってのを意外と私まだ観てないんだなって思ったので今後見ていきたい。