ータイヤについて試してみるー シュワルベPRO ONE 28,30CとCADEX RACE 28C タイヤについて 

toshima_cp
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公開:2024/11/30

今回はTCR Advanced SL 1 (完成車)についていたCADEXのタイヤや私がこれまで使ってきたSchwalbeのPRO ONE TLEなどの比較を書いてみます。

【CADEX Race GC 28C,チューブレス運用】

CADEX Race GC, tubeless, 700x25c (28mm), folding を2025年モデルのGIANT SLR 0 40 DB(リム内幅22.4mm)に装着して4.0barにしたところ、実測で26.95mm程度の部分が多く、27mmを越える場所もほぼない・・・という状況でした。

念のため、6.0barまで空気を入れたところ、数カ所測って27.6mm程度かな・・・と。空気圧に依存して少し横幅は変わりました。6.0barで乗らないから関係ありませんが。いずれにせよ28mm未満になるよ!というタイヤのようです。

ちなみにCADEX RACE GC 28Cの実測重量は279.3gと283.7gでした。カタログスペックでは279gなのでほとんど差がないわけで、驚きました。2本の平均は281.5gです(n=2)。

ちなみにPRO ONE TLE 28Cを2本だけ買いましたが各々 290.5gと295.0g でした。平均で292.75gになります(n=2)。CADEX に比べると1本あたり10gちょい重い・・・と考えておけば良さそうです(n=2だけど)。10~20gの違いなら目くじら立てるほどでは無いと感じますが、ヒルクライム一発勝負の記録会に出るなら気になるかもしれませんね。

【Schwalbe PRO ONE TLE 30C,チューブレス運用(マクハル)】

PRO ONE TLE 30C を実際にSLR 0 に装着しましたが、6.0bar程度で実測31.5mmは越える感じだな・・・と。見た感じで32mmくらいあるだろ!と思ったので見たまんまでした。メーカーによって太い方にいくかかすかにカタログ値より細いかはあるでしょうが、シュワルベはやや太る方向という印象です。数セット使ってきたので一定の傾向は感じますね。

また、実測した重量は(これが問題なのですが)331.5gと344.0gです。重い!2本での平均が337.75gなのでCADEX RACE GC より1本あたり56.25gも重い!

「これは流石に走りがモッサリするかもなぁ・・・」だとか「でもエアボリューム大差ないからホイールの硬さが支配的なら快適性は大差ないかもなぁ・・・」などと思ってしまいました。結果・・・大当たりでした。

まず、30Cにして前後で112gも重くなってしまったので、当たり前ですがこぎ出しが重い。実に重い・・・。ひじょ〜〜〜に重い・・・。CADEX RACE GCならゼロスタートでもそうで無くても、クランクに力をかけたらクランクがストン!と落ちて間髪入れずに加速したのですが、その面影はほぼ全くなし。いかにも重い物をグイグイと回転させていく感触になってしまいました。

それでも、パワーのある人や70kgある私より重い人なら良いかもしれませんが、このマシンに合ってるかどうかで言えば「全く合ってない」としか言いようがない。TCRってこういうマシンじゃないよね?そうだよね?という。

まったりゆったりロングライドだけするならこれでも良いでしょうが、ロードレーサーっぽいキビキビした挙動を求めているし、ある意味ではそのてっぺんのマシンを少しでも味わいたいからTCR ADVANCED SLにしているわけで。そう考えると30Cは私の中では「これは間違っている」となります。むしろ明確にそう思えたのは良かったです。もっと軽い30Cが出てくれば話は別でしょうけど、1度味わった切れ味は短期間では忘れがたいのでなんとも。

【Schwalbe PRO ONE TLE 28C,チューブレス運用(マクハル)】

そんなわけで以前の2018年モデルのTCRでも使っており、好きなタイヤの一つであるPRO ONEの28Cに交換しました。1回の走行で30Cからはひとまず撤退という驚きのスピード感。

結論を言うと「妥協点の一つとしてはこれでいいかな」と思えました。

フロントの衝撃吸収性は私のフィジカルでもロングライドを問題なく走れる程度に改善し、PRO ONE 30Cのような致命的なモッサリ感はなく加速は「ほどほど」になりました。タイヤサイドの硬さが影響しているのか、PRO ONE 30Cより快適性も高いです。RACE GC 28Cと比較したとき、前後とも同じ空気圧だと明白にPRO ONE 28Cが快適です。RACE GCだと0.2barずつ落として似たような快適性になるとは思いますが、タイヤサイドのコシの強さなどタイヤ自体の剛性(感)やエアボリュームも少し違うので、全く同じような感触にはなりません。PRO ONE 28Cではタイヤ自体の剛性が軟らかめなのだと分かります。勿論、腰砕けになるようなものではなく味付けの範囲で。

また、PRO ONEの2種類の太さを試して分かったことですが、同じ銘柄でもエアボリュームが大きいという理由だけで太い方が快適とはならないように思いました。予想ですが、PRO ONE 30Cは重量増が特にタイヤサイドの厚みに割り当てられているのではないかと・・・。乗り心地としてはそのような印象を持ちました。無論、空気圧をもう少し下げれば「あぁ、30Cだけに快適だね!」と思うかもしれませんが、重すぎるのでそこまで試す気にもなりませんでした。

一方PRO ONE TLE 28CにはCADEX RACE GC 28Cほどの切れ味もありません。初期加速は(やや)劣る。クランクがストン!と落ちる感触も(やや)劣る。走行抵抗も(やや)劣る。緩斜面での「明らかに速い!」という感覚も(やや)劣る。ダンシングの気持ちよさも(やや)劣る。まだ試していませんが、急勾配でもスルスル登れるような感触も恐らく(やや)劣るでしょう。

1度CADEX RACE GC 28C の切れ味を味わってしまうと、トレードオフとして乗り心地が悪いとか、ちょっと路面の状況が掴みづらいとか、カーブが少し不安だとか、そういうネガティブな面は忘れて「あのタイヤは凄くレーシーで切れ味抜群だったなぁ」などと思ってしまうものです。レースしてたらRACE GCを選ぶだろうな〜!と断言できます。PRO ONEと比較する前の段階から「速い!」と思えるマシンでしたし、比較したら尚更そう感じます。

また、重量についてはCADEX RACE GC 28Cにシーラントを(保守的に?)40CC入れたものは、PRO ONE 28Cにマクハルを20g分残して施工した状態よりも8gほど重いです。これはタイヤの個体差などでどっちにも触れる誤差の範囲とは言えますが、タイヤ周りの重量が少し重くても、しかもシーラントが中で動いていようとも、RACE GCの方が「速いタイヤ」と間違い無く言えます。

一方でPRO ONE 28Cの(RACE GC 28Cに対する相対的な)よい点は、衝撃を凄くよくいなしてくれる、路面とのグリップ感があって安心できそう、の2つでしょうか。言葉で表現するとポジティブな部分が少ないようですが、感覚的にどっちが好みか、乗り方やフィジカルに合うかは「言葉としてまとめた場合の量」とはあまり関係ないと思います。実際、体力が落ちている現状ではRACE GCではツライのでPRO ONEを使う・・・というのが私のいまのチョイスです。

※購入した4本の重量は 288.9, 290.5, 295.0, 304.0[g] で 平均294.6[g]

【現時点での結論】

衝撃吸収性:PRO ONE 28C>>PRO ONE 30C>CADEX RACE GC 28C

抵抗の低さ:CADEX RACE GC 28C>PRO ONE 28C>PRO ONE 30C

加速感:CADEX RACE GC 28C>PRO ONE 28C>>PRO ONE 30C

立ちこぎの軽快感:CADEX RACE GC 28C>PRO ONE 28C>>PRO ONE 30C

重量:CADEX RACE GC 28C>PRO ONE 28C>>PRO ONE 30C

長々と書きましたが、ロードレーサーはタイヤで大きく印象が変わる、体感での性能も変わるはず・・・という当たり前の結論を得ました。パーツに選択の幅があり、あれこれ悩んで納得するという楽しみがあるのもいかにも機材スポーツという感じですね。今回は太さ2種類(本当は全部幅が違うので3種類)、銘柄も2種類の3組を比べられたのも凄く有意義でした。お財布には打撃でしたが。

もし今後、他のタイヤを試すとすればContinentalのGrand Prixシリーズは使ってみたい気がします。昔はずっとGPシリーズだったのですが、チューブレスレディーになってシュワルベを試したら不思議と当時の感覚にマッチしたので数年使ってきたという経緯なので、出戻りもよいかと。予想ではPRO ONEよりは硬いでしょうが、抵抗の少なさと衝撃吸収性とグリップ感のバランスが今回試した3組に対してどこに位置づけられるのか。かなり興味があります。

とりあえず今回はこの辺りで。何かの参考になれば幸いです。