snsでひっそりと一方的に動向を見守っている兄がここで日記を付けはじめていた。
まだ3〜4しかない記事を読んでみたのだが、どうやらうちの兄は私が同居していた時に考えていたよりもユーモアがあり、人間が好きで、私と同じことを考えることがあるのかもしれない。ふむ。
実家に棲んでいた兄は常に一般の範囲外の生物、UMAであった。時折気まぐれに7つ年下の妹に親愛の情を見せることもあったが(親と喧嘩して号泣する私が兄の自室にいること を許容してくれるなど)、基本的にはパーソナルスペースを守り切るために妹をシャットアウトしていた。来るもの拒み、去るもの追わず、ふと共用のパソコンにおすすめのゲームをインストールして去っていく。どうにも存在感が希薄な謎の存在、兄。
最後にまともに言葉を交わしたとき、11と18だった我々は今や22と29であり、お付き合いすることも可能な年齢差となった。ジェネレーションギャップさえあれ、会話もそこそこ成り立つはずの年齢差である。
あの時宇宙人に見えていた兄にも、そういえば同じ血が流れているわけだし、少なくとも11年は同じ家に住んだわけだし、多少、なにかしら、共通項があったとしてもおかしくはないよなあ、とか、一緒に酒を飲みながら話をしてみたいなあ、とか、そんなことをふと考えた。
私は親についての話がしたい。
あの2人の大人に対する、私以外の意見を聞いてみたい。
まあしかし、そもそもどう連絡を取ろう、から始まるのだから溜息が出る。相手は私に関心が無いのだ。迷惑がられたいわけでもない。祖母の葬式を当てにしていたのだが、コロナと一人暮らしを言い訳に兄も私も参列しないまま恙無く式は済んでしまった。
次に兄と会うのは父母どちらかの葬式かもしれない。