
劇団四季最新オリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』を見てきました。ということで、諸々感想的な。
原作は藤田和日郎先生の『黒博物館 ゴーストアンドレディ』。
端的に言って最高のボーイ・ミーツ・ガール/異形・ミーツ・人間なので、原作を読んでていても読んでいなくても、フローレンス・ナイチンゲールのことを知っていてもいなくても、普段演劇を見ていようが見ていまいが、劇場に足を運んでほしい作品な訳ですが、ネタバレにならない範囲で何か1つこの劇に関する情報を入れて見たいのであれば、劇団四季が漫画原作という新しい一歩を踏み出したミュージカルであるというこということは知っていてほしい気がしますね。
日本の情勢的にインバウンドに頼ったり海外に売っていったりしないといけない状況とか、男女比3:7的な客層とか、ディズニーの知名度とかと戦うために、『黒博物館 ゴーストアンドレディ』を舞台化してオリジナル作品と成った、ということが、その文脈含めて最高だよな!拍手喝采も納得!という話だったということよ!!
以下、ネタバレ含むお話なので、ネタバレ込みでも楽しめる方以外は閉じること!
諸々語る前に、これを書いている人のにわか感の表明。
劇団四季作品:何か中高くらいのタイミングで、『ライオンキング』と『オペラ座の怪人』を見た気がする…… ここ10年くらい全く触れてない。想定された客層すぎる……
藤田和日郎先生作品:『金色のガッシュ!!』からのサンデー本誌派だったけど、『からくりサーカス』を読み飛ばしていた。後日、『うしおととら』は全巻読んだ。2024年の夏季休暇に『黒博物館 ゴーストアンドレディ』を読んでその勢いで『ゴースト&レディ』の予約をした。そんなに積極的に行かずともで2階席のB席で良いかと席を選択したことを普通に後悔した。
以下、本当にネタバレ含む話!
原作との違いを語りたい① 恋愛要素について
いや『黒博物館 ゴーストアンドレディ』は最後に再会できて、ラブだから良いんじゃん! 途中からラブ感出すのは違くない?何でも恋愛要素付与するドラマ化かよ?みたいなことを思って早口オタクになった自分は否定できないんだ。マーベル・シネマティック・ユニバースの作品に恋愛要素が入る度に、チョット否定したくなる人間だ。面構えが違う。だけど、めちゃくちゃ面白かったんだよな!!!
と、観劇直後は思っていたのですが、改めて原作読んだら、結構中盤辺りからフローがグレイを見る目はラブでしたわ…… 曖昧な記憶怖い。
好みと違うけどめちゃくちゃ面白かった文脈で何故なのか?を深堀りした際に、最初にこの舞台はグレイが作った舞台であるということが示されていることは大きかったと思うんですよね。原作の『黒博物館 ゴーストアンドレディ』は、グレイが黒博物館に「かちあい弾」を借りに行く為に学芸員さんに"フローとの出来事"を語る、というスタイルだったことに対し、『ゴースト&レディ』は、グレイが脚本を書いた芝居の初演を"フローとの出来事"観客に見せる、というスタイルで進むという違い。改変。
これはぐうの音が出ない改変なのでは?という魂で納得させられる感じよ。
ドルーリー・レーン劇場の灰色の男は2万回は芝居を観ているんですよ…… そんな奴が愛する人の芝居を作ったら恋愛要素が増えるに決まっている。ディズニーっぽい要素が入るに決まっている。納得感しか無ぇ! スコット・シュワルツ、お前の勝ちだ……!
最初の「奇跡の夜に」のシーンでそれが示されるのが強すぎる……
ところで、観劇が終わった後に、サントラのCDを買おうか迷って家にCDを再生する機器が無いしな!と思って買わなかったのですが、普通にSpotifyにあるんですね。普通に太っ腹で凄い。これ聞いただけで話は追えてしまうのでは? まあ、それを上回る体験を与えるという自信よな。
閑話休題。
その次の場のゴーストやらヴァンパイアやら亡霊やらが踊りまくる「俺は違う」が、ミュージカル感満載で原作とは違う世界を示しているのも大きいと思います。しかもキャラクター紹介までしてくれる。最高。お前らどこから出てくるんだ?みたいな感じになる。最高。最高。
原作との違いを語りたい② サムシング・フォーの3つ目について
「かちあい弾」が無く、最後どうなるんだろうな?って、観劇の第一幕の終わりにデオンがカッコよく登場して放心した後の休憩中ずっと思ってた。原作読んだ時、そもそもの別れの前の再会に感動し、その伏線回収にもめちゃくちゃ感動したので。
個人的な解釈としては、「かちあい弾」はマンガでの感動のポイントで舞台では「かちあい弾」が無くても、感動させられるというグレイ(≒スコット・シュワルツさん)の判断なんだろうな、という見方。劇団四季版を観た後に原作にポロロッカした人にもサプライズが必要だよね?というメタ視点。そういう意味だと、劇団四季版から入った人が、学芸員さん要素だったり「かちあい弾」要素だったりをどういう捉え方をしたのか気になってしまう。
原作との違いを語りたい③ 生霊の扱いについて
原作にあった生霊の概念は全く語られないけれど、そのモチーフは影で演出されるの、とてもオシャレ。(スタンドの概念が語られない実写版『岸辺露伴は動かない』と言われていたけど見てないので割愛。)
光と影の演出は、こういう舞台の醍醐味ですよね。
あと、舞台全体で、何だ今の寝ている人が死にそうな時の演出!?、2階席からあまり見えないけど突然浮いて戦っている!?とか、割と驚きの連続でした。
これはお芝居をあまり観てないから問題なのかもなのですが、スタッフ一覧に「イリュージョン」の人が居るんだ?みたいな感じになりました。流石、劇団四季ですわ……
思うまま書いてたらまとまりがなくなったまとめ
めっちゃ面白かった!!!
原作を読んだ勢いで勇気を出して見に行って良かったです。もう1回見に行こうと思ったタイミングで、東京公演千秋楽までのチケットが全部完売していて、うんまあそれはそれで良いタイミングで見れたのは良かったけど、もう1回見たいよ!とはなりました。2025年5月に名古屋に行くしか無いのか……
それはそれとして、これは劇団四季初心者驚きポイントというか、まあ、そもそもほぼ毎日レベルでやっているのが凄いよね問題に加えて、キャストがそれぞれ2名ずつ居るので実質2パターンあるじゃん!感があるのが、そういう集客方法もあるのか感ありますよね。こう、ハマるとどっちのパターンも見たいような、いやでも、もう1回、間瀬はるかさんのフローを今度は近くで見たい、みたいな……

↑ 開演前は写真撮っている人も居るなぁ、くらいの「本日のキャスト」を終演後に思わず撮ってしまうの図。
今更だけど、ストーリーについて全く語ってないことに気付いた訳ですが、史実としてのナイチンゲールと、空想としてのグレイの組み合わせ方がめちゃくちゃ上手いのが本当に好きなんですよね。と言いつつ、まあ歴史に詳しい訳ではないので、改めて調べてなるほど!と思う部分も含めてですが……
藤田和日郎先生の作品をもっと読まなければ……!みたいな感想にもなりました。『月光条例』は買っていたと思うので、その辺りから……

↑飾ってあったサインとグレイが素敵過ぎるんだよな……!