言えばわかるとか、言わなくちゃわからないとかいうけれど、現実はそんなに単純なものじゃない。
いくら言葉を尽くして説明しても、どうがんばっても、伝わらない相手には伝わらない。
とても歯がゆいし虚しいけれど、それは多分、最初から相手に受け止める器がないせいで、どうしようもないことなのだ。
それで、小説には、そうじゃない世界を書こうと思った。
会話で心を通わせることができたり、どんなに辛い状況でも、心を寄せてくれる人がいる世界。
孤独や絶望に打ちひしがれていても、たとえ報われなくても、どこかで思っていてくれる人がいる世界。
書き始めの頃はそこまで深く考えていなかったけれど、脇役も大切に書きたいし、悪役にもそれなりの理由を持たせたい。
そういうふうに書いたからといって、小説として面白くなるとは限らないけれど、自分のために書いているんだから、それでいいのだ。
7ヶ月前に書き始めた小説は、公開を前提としない、つまり100%自分のための小説で、もう18万字を超えた。
一応、登場人物の人生を長く書いていくつもりで、物語の中では、今は書き始めた時点から1年数ヶ月が過ぎたところ。
どこまで書き続けられるか、ある意味、自分に対しての挑戦でもある。