火村英生と江上二郎と

トウミイチヨ
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公開:2024/9/22

ミステリをキャラ小説として読むのが邪道だということはわかっている。

それでもどうしても、人は(私は)キャラ萌えしてしまうものだ。

(「キャラ萌え」はもう死語?)

初めて読んだ有栖川有栖は、たしか「暗い宿」という短編集で、火村シリーズだ。

それから火村シリーズを読むようになり、「火村カッコいい」と思っていた時期が長かった。

ただ、マニアックな私としては(?)、初期の作品では、わりと粗野なところがあった火村が、いつの間にかすっかり洗練された人になっていることが若干不満だった。

後に江上シリーズも読むようになり、火村は、江上シリーズの「双頭の悪魔」に出て来る志度晶という詩人がモデルになっていることを知った。

「そうそう、ずっとこんな感じのままでいてほしかったよ」と思ったりした。

時間が経つにつれて、クールでシャープな火村よりも、穏やかで優しい江上を好ましく思うようになった。

年齢を重ねたことによる心境の変化かもしれない。

高田崇文のQEDシリーズのタタルが好きだった時期もある。

ホント、そういう読み方は違うと思うけれど、読み手にとっては、探偵役のキャラが魅力的かどうかはけっこう重要なポイントだ。