腕に残る昔の傷痕はざらざらとまだ痕を残している。不安が全くない筈がない。耐え切れないほどの痛みはもうないから。何より、君が微笑ってくれるのなら。この傷痕も気にならない。
変化に気づいてしまった自分は確かに依存していた、まるで中毒患者のように。
立ち入れない愛情の深さと、明らかな優先順位。不確かにゆらぐ不安が、いつもわたしの足元を崩していくので。
その符号を追求することはパンドラを開けること。しかも、希望がのこっているかはとても怪しい。
終わってしまうことが恐ろしくて遠い未来の約束を交わす。果たされない限りはいつまでも夢を見ていられるから。
失った感情に焦がれながらこれからを生きていく。目蓋の裏の思い出たちが色を失ってしまうまで。
眠れない夜が明ける前に、あなたを苛むすべてを消して。
罪悪感の苦味ごと飲み込む、麻痺した感覚の不在が、いつしかすべてを狂わせていく。
他者を排除した世界は狭いけれど居心地は良い。たったひとりでいられるのなら、決して、傷つけることも傷つくこともなかったから。
ゆっくりと身体が毒に侵されるように少しずつ変化していく。満たされているうちは気づかない、足りなくなってようやく気づく。
記憶の底にある面影を今もまだ探したままさまよっている。
後にも先にも、こんなに感傷的になった夜はなかった。
桜の花があんまり迷いなく散っていくから、わたしのからだも潔く散り散りになってしまえばいいのにと思った。
ようするに、わたしはミーハーなのです。軽い言葉を真正面から受け取って、まんまとその気になってしまった。
あなたにずっと憧れていたの。あなたといると、あなたのようになりたいと思ってしまうの。このまま一緒にいたら、嫉妬していたと思うの。
(…したらだめ?)
そんなこともわからないで。わたしも、あなたも、不釣り合いな夢なんか抱かなければよかった。こんな身勝手な命など花のように散ってしまえたらよかった。かける言葉も見つからないし、ありきたりな言葉だって出てこない。
わたしの、初恋だったひとよ。
「口実を探していたんだね、わたしたち。幸せになれないのは、きっと誰かのせいだって」
過去の予兆
言うほどに安くなる言葉!
「背中合わせにでも歩いて行ったら、きっと世界の裏側でまた会えるから。だから、何も不安に思うことはないし、始まってもいない悲劇を夢想して悲しむことはないんだよ」
やさしい牢獄
信仰からの乖離
ぐしゃぐしゃの頭の中の、たったひとつだけ確かに信じられたことさえぶち壊されて、わたしはいつまで苦しめばいいのだろう?
もしも夜明けが闇の終わりに訪れなければ、きっと迎えに行ってあげる。
時間差の足音
けれど心は弾むだろう
否が応でも記憶は消えてくれず、これからもずっと影のようについて回るのだろう。そうしていつかはあの影がたどった末路と変わらない、相応の結末が、わたしを待ち受けているに違いない。
信じるだけで救われて愛があれば強くなれるっていうなら、世界は今も昔も平和だし、みんながハッピーになってるはずだろ?
未来の残骸
隔絶された世界はいずれ
無秩序に暴れる言葉が存在を主張する。頭の中で。今まで目にしたであろうすべての映像が、耳にしたであろうすべての声が、言葉が、私の中でのたうち回り絡まり合ってはカタチを保とうとする。そうしないと、消えていってしまうと知っているようで。