私には「やりたいことリスト」がいくつかある。やりたいことリストは、一年間の小さな目標を書き出したものだけに留まらない。人生をかけて果たしておきたいことも、毎年いくつか書き連ねている。
――ひとつ。ゲームを作ること。または、ゲームのイラストを手掛けること。
――ひとつ。好きな芸能人にお会いすること。または、何かしらの彼らの晴れ舞台を生で観劇すること。
あとは、これが欲しいとか、あれがやりたいとか、この仕事を頑張りたいとか、いくつか列挙してある。これらを細かく区切っていったのが「今年のやりたいことリスト」だ。
私は、全く裕福とは言えない家庭に生まれ育った。心身に不調をきたして働けなくなった時期もあった。それなりに要らぬ苦労もしてきた。ここまで来るのに、とても遠回りな道であったし、昔夢見たものとは違う形ではある。それでも、なんだかんだで、私は「イラストレーターになりたい」という夢を叶えることができた。「きっと叶う。願い続ける限り」というのは仮面ライダーギーツの主人公・浮世英寿の言葉だが、これはあながち間違いでは無いな、と私は思う。
そんな「イラストレーターになりたい」をはじめとした私の「やりたいことリスト」は、私が私であるためのリストでもある。何故私は生きるのか、どう死にたいのかを定義する、己への存在証明ですらある。「死ぬまでにこれだけはしておきたいリスト」と言っても過言ではないそれは、年々、少しずつではあるが、叶えられるようになってきた気がしている。
その中でも優先度が高いものが、やはり私以外の、生(なま)の人間が関わる項目だ。物が壊れるよりずっと早く、人はいつか死んでしまう。芸能人であれば引退して姿を消してしまうことも多い。離れた土地で暮らしている友人も、フォロワーも、いつかは私の前から姿を消してしまうだろう。だから、機会があるならば、私は彼らの美しい瞬間を生で見て、記憶に焼き付けておきたいのだ。
だからこそ、今回の友人がくれたチャンスを逃すわけにはいかない。私は未来の私に多少無理をさせてでも、旅立たねばならない理由がある。そのきらめきをこの心に焼き付けるために。
私には、ささやかな夢がある。そのうちの5つを叶えるため、私は短い旅に出る。二度と私や彼らに事故が無いことを祈りながら。