このお話はフィクションです。実在する人物やキャラクター、その他の存在などとは一切の関係がありません。
冒頭はあまり覚えていない。両親と弟が居たこと、私は高校生になっていたことくらいか。
気付くとガレージに居た。ガレージの中の私は、何故か更に幼くなっていた。ガレージのものを観察したり、あるもので遊んでいたりした。私は動かせないから眺めていると、ガレージの若いおっちゃんが話しかけてきた。日本号やFF7のシドに似ていたおっちゃんだった。おっちゃんは機械を動かしてみせてくれて、私にはそれが面白かった。
ガレージのシャッター付近に行くと、チーム5D'sの面々と、武藤遊戯や遊城十代、あと榊遊矢と王道遊我も居たような気がする。九十九遊馬や藤木遊作が居たかは分からないが、ユウディアス・ベルギャーの姿は無かったことは、はっきりと覚えている。
彼らはメカについて何か話をしており、主に不動遊星がいろいろなことを教えてくれた。遊我がそれに補足してくれたり、遊矢が同じ目線で話をしてくれたり……親戚のお兄ちゃんのように優しかった。
その後、実家に帰ると、姿形が元に戻っていた。そして、弟が何やら騒いでいた。虫が出たらしい。形状はカメムシやゴキブリに近かった。虫は恐ろしいくらい繁殖し始めていた。二人して殺虫剤を振りまきすぎて、父にやり過ぎだと怒られた。
その後、場面が変わって、私はまた小中学生の姿になっていた。時期としては、卒業したてのような雰囲気だった。
友だちと私は、同じ建物に住んでいた。私は左の棟、友だちは真ん中。荷物を持って一緒に帰ると、家の周りに怪しげな男たちがうろついていた。揃いも揃ってスーツを着て、サングラスを掛けている。ピシッとしていればSPに見えなくもないが、その男たちはカタギではないチンピラのように見えた。
その友だちの家に荷物を運ぼうと、怪しげな男たちの群れを掻い潜って、真ん中の棟の階段を登っていく。すると、先程の怪しい男たちのうちの下っ端らしいやつが、友だちの家の前にオイルで火を付けていた。建物はコンクリートで出来ているから、燃え広がるには時間がかかるが、時間が無い。私は友人と逃げ出した。外に出たときの私は、何故か今の大人の姿に変わっていた。
敵に追われることになったため、その道中で友人とはぐれてしまった。友人は何か躊躇っていたため、捕まってしまったかもしれない。しかし、薄情なようだが、私は逃げ延びて、あいつらを捕まえなければならないと思った。
必死に逃げていると、道路の向こうに知っている人影が見えた。十代だ。私は十代に助けを求めた。十代は「……分かった!」と言ったが、敵がどんな奴らか分かってなさそうだった。しかし、十代もそこまで馬鹿ではないので、まずい事態だということは理解している。十代は、私を抱えてネオスを召喚し――私を自分ごとネオスに抱えさせた。
さすがに生身の人間をデュエルモンスターズの精霊で傷付けるのはまずいので、私たちは追ってから逃げた。しかし、敵は悪の組織である。現行の戦隊モノで見たような馬鹿でかい車両で追い掛けてくるため、すぐに追い付かれてしまう。
そのとき、「おーい」と、反対車線側の歩道から声がした。
「おいおい、俺を差し置いて、その子を抱えるなんて……狡いじゃないか」
私の本丸の鶴丸国永だ。鶴は極めているはずだが、よく知った初の姿をしていた。
十代は鶴を見つけるなり私を捨てるように歩道に乱暴に降ろして、先行していた敵を誘導するために、ネオスで飛んでいってしまった。
ほとんどの敵が私に気付かず十代を追い掛けていったが、そのうち何台かは私に気付き、こっちに向かってきた。やっぱそうなるよね、と思っていたが、案の定、全部鶴に切り捨てられていった。鶴の斬撃を受け、敵の車はパンクしてスピンし、後続車を巻き込み、追突の衝撃で爆発した。あるいは、鶴に真っ二つにされた車もあった。爽快で痛快、愉快だった。
逃げているうちに辺りが暗くなり、私と鶴は暗い道をただひたすら歩いていた。気付くと、レンガと植物の壁でできた通り道に居た。そこはなんだか、現世じゃない感じがした。
私はこれが鶴の仕業ではないことを確信していたし、やはり鶴もおかしいと感じていたみたいだ。二人して罠に嵌められたような気分になったが、鶴が居るなら大丈夫だろうと思った。
とりあえず進むことにした私たちは、奥へ奥へと入っていく。奥へ近づくにつれて、向こう側に大きい洋館が見えてきた。若干古びているが、手入れされているようで、とても綺麗だ。
更に奥へ進むと、人ひとり分通れそうな薔薇のアーチを見つけた。薔薇のアーチの中は真っ暗で、闇がうごめいているようにも見えた。怖い感じはしたが、嫌な感じはしなかった。何かの目的があって、人間である私を惑わしたいような気配がした。
すると、突然、後ろから両肩をぽんぽんと叩かれた。叩いた手は、鶴と同じ、手の甲が半分くらい開いた手袋をしている。……鶴丸国永だ。
「驚いたか?」
彼はそう問たが、私は全然驚かなかった。その代わり鶴が「は?」と驚いていた。それはそうか、同じ顔が同じ夢に居ることなんて、なかなか無いのだから。
その鶴丸国永は何か勝手なことばかり言っていた。自分と鶴の見分けが付くかとか、嫁にしたくて、仕舞いたくて連れ去りに来たとか……どっかで聞いたことのある台詞なので、全くと言っていい程、驚きが無かった。
この鶴丸国永に、なんの目的があってそうしているのかは分からなかった。とにかくこの鶴丸国永は、自分を鶴だと誤認させたいらしい。そうかそうか。私は「お前、鶴じゃないでしょ」と言い放った。
「分かるよ、それくらい」と返すと、隣に居た鶴の顔が、ぱあっ、と明るくなった。そうそう、私の鶴丸国永は真っ直ぐで素直で可愛いやつなのだ。
そこで目が覚めた。久々に楽しい夢を見た気分になった。
今日は何も書けなかったので、過去に書いた日記を公開。