つみきのおうち

Trigonophorus
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毎日毎日、そっとかさねて、積み上げた

なのになぜ、自分で壊してしまうんだろ。

きれいにていねいに、集中してじっくり、

沢山の時間をかけたのに、

せっかく上手にできたのに。

私の前が悪意の蠢くまっくらな闇になって、

恐怖のあまりたまらず振り払う。

すると気がついた時にはどうだ、つみきがバラバラになっているという具合だ。

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いつか、ちいさな城下町を作りたいんです。

ちいさなお城と、それを囲むささやかな暮らしの断片。

そこにはお姫さまと王子さま、猫と虫が服を着て生活しています。

街には木の実やお菓子、チーズやパンが売られています。

ほどなくして、そのちいさな国は溶けるようになくなるでしょう。

ちょうど時間の波が砂をさらうようにして。

けれどその国で暮らした者たちはみんな幸せに、眠るように死んでゆくのです。

なぜなら、今生きているのがすでに天国で、それを早くに気づいて存分に楽しんだ方がいいとみんな知っているからです。

天国の次は、無。

塵になって世界と溶けて、これから意識を授かる命のゆりかごになります。

その使命を分かっているからこそ、みんなにこにこと仲良く楽しむのです。