後輩について

そめ
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入社してきた彼と初めて話してすぐに、この人は私とそっくりな人だと直感した。2年くらいが経ち、彼のアウトプットを色々見てきた後に思うのは、その直感はほとんど正しかった。

興味関心の指向性が近く、大事と考えているものが重なるし、こだわり方やアプローチの仕方、成果物から漂ってくる匂いが私のと同じ。こんなに私っぽい人には初めて出会った。

予想外だったのは、私より勇気があり、愛嬌があり、ガッツがあり、対話に開かれ、よく聞き、愛があり、明晰で、鋭く洞察し繋ぎ合わせる力に長けていることだった。あれ、そんなに似てないな…?

自分で言うのもなんだけど、私にはセンスがある。それほどレアなものではないけど、これのおかげでこれまでの人生をうまくやってこれたと思っている。同様のセンスが彼にもある。彼と違うのは、私はそのセンスの上にあぐらをかいて、自分のために消費し続けてきたことだ。

私が持っていないもの、私に足りてないものを、彼はたくさん持っている。さながら私のスーパーセットだ。

べつに偶像化したいわけではない。彼にだって人に言えない悪癖の一つや二つくらい持っているはずだ。彼がこの人格を獲得した経緯にも良いこと悪いことあるだろう。

そんな彼は、私を尊敬していると言ってくれた。ものづくりの姿勢に共感してくれた。これは本当に嬉しかった。尊敬する人が私の価値観を誉めてくれることほど、生きててよかったと感じることはない。

私が何かアドバイスすることもなく、彼はこれからのびのびと羽ばたいていくだろう。大きな事を成すタイプではないかもしれないが、目の前の人に尽くし、周囲に変化を生み出し続けるだろうことはまったく想像に難くない。

彼は会社を去ったが、彼の人柄と勇気は、私の人生における大きな道標になると思う。これから訪れるいろんな局面で彼を思い出すだろう。こんな時、彼なら何を考え、何をして、どのように決断を下すだろうかと。

彼に良い顔をし続けられるように、私も負けんように、ひそかに何かと努めよう。