父の姿に自分の老後を重ねて

tsudoi
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公開:2026/2/3

先週の1月30日、実家(札幌)に着き、玄関の扉を開けると、目の前で父が倒れていた。

漫画かドラマでたまに出てきそうなシーンに、まさか自分が遭遇するとは想像もしておらず、その目の前の衝撃的な光景が、数日経ってもフラッシュバックのように頭に焼き付いており、ふとしたタイミングで思い出されて心臓がドキドキする。

2026年1月2日に母が逝去し、しばらく実家にいた。葬儀が終わって"からも"、父は毎日2Lのお酒を飲み続けた。"からも"というのは、母が逝去する前から、"ずっと"毎日お酒を飲み続けていた。"ずっと"というのは1年、2年ではなく、もっと長い期間。

その結果、食欲がなくなり、会話のキャッチボールもできなくなり、同じことを何度何度も繰り返すようになっていた。

1月12日に、東京に戻ってきて、その約3週間後の1月30日に、再び実家に行き、父の様子を見に行った。午前中に実家に着き、父を見た瞬間、僕も妻も言葉を失った。顔がこけてしまっていて、お酒を持つ手が震え、声が変わっていた。椅子からもなかなか立ち上げれず、杖を使ってようやく立てたは良いが、足が上がらず、なかなか歩けない。

さすがにこれは限界を超えてしまっている。

僕と妻は一度、ホテルにチェックインするために実家を離れ、父と食事をするために食料を買って、再び実家に戻って、玄関を開けた。

目の前で父が倒れている。

意識はあった。顔を真っ赤にして、全身が震えていた。骨折はしていないようだったので、妻と二人で父を抱え、とりあえず、椅子に座らせた。父の全身が震えが止まらず、鼓動も早くなり、明らかに緊張状態。

トイレに向かおうとして、失敗して、倒れてしまったらしい。身体がうまく動かず、立ち上がれなかったところ、僕らが帰ってきた。僕らが帰ってきたのは、倒れてから5分後くらいだったらしい。

父は、僕が中学生になったあたりから単身赴任で実家にはいなかった。正月になると帰ってくる父というのが学生の頃の記憶で、それ以外の記憶はほぼない。

大学を卒業して、東京にいる父の家に転がり込んだ。父と暮らすということに慣れておらず、最初は戸惑うかなと思ったが、すぐに友達のような関係になれて、東京で父と暮らした日々は、本当に楽しかった。ふたりでカラオケに行ったりもした。

父が60歳になり、単身赴任が終わり、実家の札幌に戻った。そのタイミングで、自分は引っ越しをして、一人暮らしを始めた。それから2回ほど、父が泊まりに来たことがあった。ちょうど、バレンタインデーの日で、冷蔵庫にチョコレートを置いて、実家に戻って行ったこともあった。

この時の父との思い出は、自分にとっては貴重な時間で大事な思い出になっている。

父が震えながら「ひとりは怖い」と言った。僕らは明日、東京に帰らなければいけない。頭の中で「どうしよう」を繰り返していた。父をひとりにはできない。

救急相談センターに電話して、事情を説明すると、すぐに救急車を手配してくれた。救急車に父を運び、自分も同行した。かかりつけの近くの病院で受診できるということになり、そして、入院できることになった。これでひとまずは安心できた。そして、僕と妻は東京に戻った。

父は現在76歳。自分が40歳を過ぎたあたりから、実家に戻って、父の様子を見ていると、将来の自分もこうなる可能性があるんだなと、父の姿に自分の老後を重ねて考えることが多くなった。老後にひとりになった場合どうするか、健康について、老後の資産管理について・・・などなど、考えさせられることが多い。

母が逝去した後、それでも父は「後10年は頑張って生きたい」と言った。

今日、兄が父の様子を見に行ってくれて写真を送ってもらった。今のままだと、後10年は無理そうだ。もう少し、父から人生を学びたい。父と旅行もしたいし、もう少し、時間を共有したい。

そのためにできることをしようと思う。一緒に過ごせる時間を、少しでも大切にしたい。