生苦

tsudoi
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老いること、病気になること、死ぬこと、そして、生まれること。これら4つは苦しみであるという仏教の教えを学生の頃に知って、当時は生きることへの熱量がすごかったので「なぜ生まれることが苦しみなんだろう」と理解ができなかった。そして、このことが頭のどこかにずっとあって、たまに出てきたりしながら生きてきた。

社会人になってから嫌なことがあると「まぁ、生まれたことが苦しみなんだから仕方ないよね」という考え方になって、それがいつの間にか、あらゆる価値観のベースになっていった。

決定的だったのが、母が難病になってしまったことだった。幸せな老後を過ごしてほしいと強く願っていた母をなぜ難病にしてしまったのか。生きることに対してそこまで苦しまなければいけませんか。絶望を通り越して、生きることに対して何も期待することがなくなった。誰かが言っていた「生きることは死ぬまでの暇つぶし」まさにこれ。

その暇つぶしの時間が長い。じゃぁ、折角だから楽しむか。生きることを。自分で。

生まれることは苦しいことなんでしょ、わかる。わかったわかった。苦しいよね。たくさん苦しいことあったし。これからもある。でも、死ぬまでまだ時間ありそうだから、苦しいことだけじゃ辛い。生まれたことが苦しいって言ってるくらいだから、楽しいことなんてプレゼントしてくれないんでしょう。大丈夫、期待してない。自分で楽しむわ、人生を。じゃなきゃ、やっていけない。

自分の人生、今のところ、順調だし、楽しんでいる。楽しむことができている。

これから先のことはわからない。いつ、どういう不幸が訪れるかわからない。けど、まぁ、それで苦しむことがあっても、仏教の教えで、生まれることが苦しみって言ってるんだから、そういうもんなんでしょう。その時は、苦しみの隙間を見つけて、自分で人生を楽しみます。