年末

みなと
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クリスマスが過ぎた途端、世界は次の年の準備や今年の振り返りを始める。いつもなら特に特別な感情を抱くこともないのに、今年は、いなくなってしまったあなたの事ばかり考えてしまう。それもこれも、あなたの声を聴いてないせいだ。きっとそうだ。そうだと言わせてくれ。

あなたに大好きなお酒を飲ませて花を手向けていた時、祖母があなたの頬に手を当てた。その時まで泣くまいと我慢していたけれど、その姿を見た瞬間涙が溢れ出して止めることが出来なかった。「死んでまで一緒に居たくない」。そう祖母は言っていたけれど、それと同時に耳に届いた「55年間連れ添った」という言葉。私は55年も人を愛すことが出来るだろうか。

知り合いやいなくなってしまった人の事はできるだけ記事にしたくない。けど、今回ばかりは日常的に起こるものじゃないから、飲み込めないままふとした瞬間に思い出すんだろう。去年の今日はまだ生きていたんだと、そう考えるだけで苦しくなる。

仲良くしてたとかしてなかったとか、喧嘩してたとかしてなかったとか、本人が居なくなってまでそんな話はしたくない。ただ思い出話に花を咲かせたい。49日が終わってかつてあなたが唯一「美味しかった」と言った料理屋さんに行った。そんなあなたの姿を見てみたかったなんて、私は生まれてないから無理だけど、一度でもいいからどこか出掛けてみたかったね。

言葉が出てこない。確かにそこにあるはずなのに、なんだかしっくり来ない。