ちゃんと裏を観て

みなと
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あるひとりの人に対して少なからず自分が持つ印象がある。それを表と言うならば、その表だけを見てその相手を判断する人が居る。「この人はこういう性格だから、こんなことしないよね」みたいなやつ。私はそれが好きじゃない。いや断言しよう。苦手だ。

勘違いしないで欲しいのは、これは誰かひとりに対して言っているんじゃない。これを書いてる私も読んでいるあなたも、少なからず表だけを見て人を判断するところがあって、私はそれが苦手だと言っている。批判している訳では無い。

彼女が彼の愚痴を言う時、何も知らないなと思う。確かに彼は私達に対して酷いことをした。でもそれを根に持っているかと言われたらそういう訳でもない。なのにいつまでも過去を引き摺って、肝心の今を見ていない。今の彼を知らない。過去がそうだったから、彼の性格ならそう言うよって確かにそうかもしれないけど、そんな確証はどこにもないのだ。だから話し合えと言う。でも「何度したって無駄だから」「話し合いして解決するっていう次元じゃない」って言って、確かにそういう事もあるかもしれないけど、でもやっぱり彼のあの弱々しい声を聴いたらそんな事は全くもって思えない。あなたが自分で「死ぬ時にこの人と結婚してよかったって思えたらいい」って言っていたのに、それを手放しているのは間違いなくあなたの方だ。双方どちらを擁護してるわけじゃない。でも彼に対する考えや思考が本当に偏っているから、だからあの時全部思っていたこと伝えたのに、彼に対することは考えようともしなかった。私は、あなたのそういう所が嫌い。

生まれた順とか性別関係なく、やっぱり私は愛されてないと思う。いつか言われた手相占いで「子どもを一番に愛してます」っていう言葉を心の底から信じていない。じゃなければ子どもである私にことある事に「あんたが居ても何の役にも立たない」なんて存在を否定する言葉を言わないはずだから。別に私達は離婚するなと咎めたわけじゃない。でもあなたは「子どもたちの為だから」って離婚する道は選ばなかった。でもそれは「子どもたち」を押し出すことによって自分は子どもたちの為に動いているんだって正当化しているようにしか見えない。もしあの時離婚していたなら私達は苗字が変わって親権も変わっていたはずだ。私達の実感としては「苗字が変わった」くらいの感覚で、それ以外の裏にある二人の感情や事情を知らない。離婚した利点を挙げるなら苗字が変わると苗字で変なあだ名を付けられたりしないで済むわけで、当時思ってなかったけどいじられないで済むのなら多分少なくとも喜んでいたと思う。子どもたちを使って自分を正当化なんて、なんだか嫌な話。あなたは私を救ったことなんかないくせに、何を今更「貴女を思ってた」なんて言うんだ。ふざけてる。だから私はあなたにはなりたくないし、いつまでも合わないなって思うし、分かり合えることもないんだろうなって思う。悲しいけどね。ごめんだけど、一方通行の感情を向けられるのだけは勘弁。

ちゃんと裏を観たい。同級生でいちばん嫌いなアイツも、愚痴ばかり言うあの人も、多分人に言えないような悲しみを抱えていて。それを気付けるようになりたい。表だけで判断せずに「もしかしたらこういう感情を抱えているかもしれない」っていうことに気付いてあげたい。気付いたとて何か私に出来ることはないかもしれないけど、それでも気付かないよりかは何倍も、何十倍も何百倍もマシだと思っていて。手を取って声を掛けた時、あなたが笑うかは分からないけど、それでも助けたいって思う。そんな小さな変化や感情に気付ける人になりたい。