行方不明展に行きました。
インターネット上にある感想や考察を見るに、わたしはおそらく「刺さらなかった」側なのですが、それでも面白かった。あるいは刺さらなかったからこそ「面白い」と余裕を持って言えるのかもしれない。
というわけで、ネタバレに配慮をしない感想をつらつら書きます。
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↑ちなみにこれはフォロワーさんの書き方をややパクりました。
「行方不明」を軸とした様々な「不明」の集積。
ここにいない。ここにいたのかもしれない。それとも最初からいなかったのかもしれない。わからない。
それでも帰ってきてほしい、生きていてほしい、幸せでいてほしい。名も忘れた貴方へ。
感想(他作品とならべて)
SCP財団に親しんだ方が制作しているとかなんとかなことだけはあり、ミーム汚染ですねこれは。黒塗りしまくりの手紙とかおぉ……流石……となりました。
内容もSCPにあってもおかしくない感じでした。ざっくりいうと「行方不明とはパラレルワールドへの移動、それに伴う記憶改変現象である」という世界観。
ただし焦点を当てているのは行方不明という現象ではなく、行方不明に関わった人々の感情です。そのぶんSCPよりも万人受けするのでしょう。
たとえるならハードSFより君の名はの方が流行るよねみたいな。SCPもハードSFもエモい話いっぱいあるけどね。
わたしの好きなジャンルに話を寄せてしまうのですが、東方Projectの世界観では「忘れられたものが幻想郷に流れ着く」でしたね。二次創作ですが、メリーが幻想入りした後に蓮子がメリーの存在を不自然に忘れてしまう……という内容のアレンジ曲もあります。


(ちなみに会場がやや暗くて写真がぶれまくりました。なんとかまともに写ってたやつだけ載せます)
感想(SNSの反応をみて)
不気味だ、ジャンプスケアのないホラーだ、と感じる人。優しい、安心する、と感じる人。どうやらこの2種類の反応があるようです。
わたしはどちらかといえば前者で、「刺さらなかった」と思ったのはこれが理由です。普通に面白かったけど、没入感すごいとか魂抜けそうとか精神が不安定な時期に行ったらやばいとか、そういう感想は抱かなかった。
会場では「あなたもいなくなりたいと思ったことはありますか」というアンケートがあったそうです(わたしは見つけられてないです。行方不明展、イースターエッグじゃねえんだぞってくらいちょっとした隠し展示がある)。
いなくなりたい、という希死念慮的な願望を「こういうのあるよね」と肯定してくれる。この展示を自分事として捉える人は、この展示に優しさと安心感を見出せる……ということなのでしょうか。想像ですが。
そしてそういう人にとって「この展示はフィクションである」というややしつこいくらいの宣言は、ある種安全装置なのかもしれないなあ。と、SNSのあちこちを見ていて思いました。
不満
会場のサイズと来場者数がまるで合っていない。
特にボイスメッセージ、90分制なのにひとつの展示物を鑑賞するのに順番待ち最大50分はやばい。ちょっと空いてる時のセンターオブジアースくらい並ぶじゃん。
それだけ並ぶ理由が「一度に鑑賞できるのが2人までだから」なのですが、単純にヘッドホンをたくさん用意するわけにはいかなかったんです?もしくはそれこそQRコードで各自イヤホンつけて聞いてねとか……後者は立体音響使いたいからダメなのかも。前者をしない理由も何かあるのかもしれないんですが理解できていない。理由があったとして、あの行列を肯定するに足るような強烈な理由なのか?
作者がやりたいことをしっかり表現した場ではあるけども、その見せ方に工夫があまり見えなかったなあと思いました。ブラウン管の小さい画面であるとか、解説が床に貼ってあったりテレビに貼ってあるのにやたら字が小さいのとか。このへんに関してはこちらの記事とほぼ同意見です。
多分あの展示でもっとも行方不明だったのは身体性なのではないだろうか。
↑笑った。たしかに。
美術館って見せ方のノウハウが詰まってるのかもなあ、と改めて思ったりもしました。
それでも結局
面白かったです!!
不満点についてはいつか同じような企画があったときに改善されるのかもしれないですしね。たのしみにしています。
ちなみに特に気に入った作品は以下(気に入ったのに限って写真がぶれてるの多すぎた問題):

↑これ。心中しようとした妻の名前が思い出せない。だけど、すきだったはずなので。
ゆうくん(写真が一枚も残っていないから、断片的な情報を切り貼りした探していますチラシを作っている。コラージュした人相イラストが超不気味)
冬ではない時期に生まれた、なで始まる名前の息子を探しています(あんなに気にかけていたのに思い出せない、らしい。それでも見つけたくてものすごく曖昧な内容のチラシを作っている……)
妹からの手紙(「他の世界に行けたとして、お兄ちゃんがそこでうまくやり直せる保証がどこにあるのですか?」みたいな記述がある。そのとおり、この世界でうまくやれないやつが異世界転生したからって、チートスキルでももらえない限りうまくやれる理由がない)