ぼくにとって、時期尚早な本だった。
でも、読んで後悔したか、というと、そういうわけでもない。
自らをふりかえる、きっかけになった。
正直にいうと、5年後にもういちど読みたいとおもった。
『老いとともに、キャリアの下降は必ず訪れる』
『特別になりたい、まわりよりも優れていたい。そのために、仕事/成功の中毒になり、家族・友人関係をおろそかにして、人生を終えて』
『どうしても衰えてしまうのに、成功体験に、仕事にしがみつき、つらく不幸に感じる人がいる。果たして、ほんとうにそれでいいんだろうか』
みたいな話。
(もうすこし詳しいながれは、後半に書いておいたから、気になる人は見てみるといいかも)
『成功のラットレースにいつまで消費しているんだい?』みたいな、この本の内容、耳がいたいものがある。
週6.5の生活から、転職して、引っ越して、生活や健康に気をつけはじめて、ようやく気づいた。2年ちかく前の自分と重なる。
でも、その一方で、わかりたくないような気持ちもあるんだ。
ぼくは『仕事でやれること、もうあんまりないかな』『めちゃくちゃ成功してるな』みたいに感じたことはない。
すくなくとも、いまのところ。
特別になりたい、何かを残したい、そのために、多少どうなってもいいから、みたいな自分も、ちゃんといる。
かしこくなるのはそのあとでもいいから、みたいなね。
レースからすぐに、降りたほうがいいのは明らかだ。
だけどそれは、一瞬でもいいから、自分が特別かもしれない、と思い込んでからじゃないと、後悔が残るとおもう。
両立できないこともないのかな。どうなんだろうか。
やはり、時期尚早な本だ。
まだこの本を読むには、あまりにも自分が未熟すぎる。
ここからは、よんだ内容の雑なめも。
①だれしもが、ちからの衰え(=キャリアの下降)から逃げられない
ここで『ちから』とは『流動性知能』のこと。
流動性知能;新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得し、それを処理し、操作していく知能。
処理のスピード、直感力、法則を発見する能力などを含むもの。おおよそ30歳くらいまでが成長のピークであり、60歳まで維持可能なものとされる。(諸説あり)
②しかし衰えをおそれる必要はない(若いときに頼っていたちからが弱くなる代わりに、別の種類のちからが増すので、それを活用すればよいのだ)
若いときは『流動性知能』をつかい、老いとともに『結晶性知能』をつかうべきだ、みたいな話がエピソードとともに説明される。
結晶性知能;個人が長年にわたる経験、教育や学習などから獲得していく知能。言語能力、理解力、洞察力などを含むもの。
③いずれにせよ『キャリアの下降』は避けられないが、恐れるようなものではない。そもそも『成功依存・欲望への執着』がいかにむなしいものなのかを悟れば、そうしたむだな拒否感がなくなるはずだ。
名声を得る、あるいは、特別になりたいあまり、仕事中毒のようになっていないか?
肩書きや職位、あるいは威信、お金、職務上の役割、実績;それらが自分の価値と同一視されていないか?
満足=得たもの / ほしいもの;つまり、得たものが増えても、ほしいものが増えつづけるかぎり、人はずっと満足できないまま一生を終える。
『ほしいものリスト / バケットリスト』を増やして、消して、を繰り返すことに満足をおぼえていないか?(本書では、むしろ減らすことに意味があるのでは?という指摘がある)
④『死の現実』を見つめ、損得勘定のない『本当の』人間関係をはぐくむことに時間を費やそう
いずれ人間は死ぬ。自分が、なにに囲まれて『最期』をむかえたいのかをよく考えなくてはいけない。
後半で幸福に寄与するのは、成功ではない。孤独ではないこと(つまり、真の友人がいること)と、健康であることだ。
統計的に、女性よりも男性の多くが、『真の友人』がいないばかりに孤独感を感じ、不幸になりやすい。
男性は、『取引の友人』ばかりで、『本当の友人』をつくる努力を怠る傾向にある。
⑤みずからの弱さを受け入れて、いきること。キャリアは『興味』を軸に置くこと。
気づかないフリを、強いフリをしてはいけない。
みずからの弱さを受け入れることで、信頼や親しみ、真の友人を得る。
こころを本当に強くする。やがて、ほんとうに事態が打開できる。
『意義』だけでも『楽しさ』だけでも仕事は続かない。
重なるポイントが『興味』。
キャリアのリセットは、つらい。我慢が必要だ。でも、その分得るものは大きい。