はじめまして、ネクストビートという会社で採用チームのゼネラルマネージャーをやっている堤です。
私たちの会社では、採用チームメンバー全員で持ち回りで月に一度「採用」をテーマにした勉強会を開催しています。
今日は、12月に学んだ内容をアウトプットしてみます。
※本記事はHR share Advent Calendars 2024の23日目の記事です。
※本記事に記載されていることは自身の考え方、思ったことであり、特定の誰かの意見や考え方を否定したり、こうであると決めつけたものではございません。
「NEWSALES」を参考文献に、「ストーリー営業」という営業手法を採用におけるクロージングに活かすとどうなるのか、ということを考えてみた。
ストーリー営業について書き始める前に、まずは営業手法の進化についておさらいしてみる。
①プロダクト営業
かつての営業は、いわゆる「売り込み」が中心で、自社の商品やサービスの機能や性能に関する情報を顧客に提供する営業手法をメインに行っていた。
「この包丁は切れ味抜群です」「この車は燃費がとても良いです」といった感じ。
②ソリューション営業
顧客のニーズを聞き出し、それに適合する商品・サービスを提案する顧客に課題をヒアリングし、整理する。そして、その課題に紐づけて商品・サービスを提案する営業手法として生まれたのがソリューション営業。
課題と自社商品・サービスが提供する価値を分かりやすくつなげられる一方で、顧客自身が課題に気づいていない場合、営業担当が的確に示唆質問・解決質問が投げられないことが問題であった。
③ストーリー営業
そして、生まれたのがストーリー営業という手法。
顧客と共に実現すべき理想を描く→理想から「解決すべき課題」を定める→課題に紐づけて商品・サービスを提案する
という流れ。
マーケティングの考え方を知るうえで最も有名な格言のひとつに「レビットのドリルの穴理論」というものがある。
「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」
そして、なぜ穴が欲しいのか、その本当の理由は「朝の支度をスムーズにしたいから」
この考え方同様に「顧客とともに理想を描き、必要な価値を見つけ、最適な解決策を提案する」それがストーリー営業。

※画像引用元:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00576/00004/
<ストーリー営業のプロセス>
理想:自社や自分の理想の状態を思い浮かべる。
課題:理想との現状の差を認識する。
価値:課題を解決するために、商品やサービスによって実現しなければいけない効果を認識する。
方法:その価値を生み出すために、最適な方法として「買う」ことを選択する。
この考え方やプロセスは、まさに転職における意思決定(クロージング)に活きると考える。
ストーリー営業のプロセスを基にして、転職における意思決定を考えると以下のようになる。
理想:相手のキャリアにおける理想の状態を思い浮かべる。
課題:スキル・経験における理想との現状の差を認識する。
価値:課題を解決するために、環境によって実現しなければいけないことを認識する。
方法:その価値を生み出すために、最適な方法として「転職する」ことを選択する。
私は、特にスタートアップやベンチャーで採用に携わっている人は、このプロセスをカジュアル面談や一次面接の中でできるようになるべきだと考えた。
なぜか。
転職市場においては、いかに他社よりも高い年収を出せるか、いかに他社よりも働きやすい環境が提供できるか、いかに良い事業をやっているかということにフォーカスされることが多い。
条件面や働く環境、事業内容は、いわゆる「プロダクト営業」の考え方で、その会社の機能や性能を売りにしている訴求の仕方なのかもしれない。
会社の機能や性能を売りにする場合、どうしても資金やリソースが潤沢ではないスタートアップやベンチャーは大手企業には劣ってしまう。
いくら頑張って給与や働き方を充実させて、事業内容の見せ方などをよくしたとしても、結局は大手企業には敵わない(ことが多い)
私たちがやるべきなのは、会社の機能や性能で訴求しない(戦わない)こと。
相手のキャリアの理想を深く理解し、その理想の実現のために現在のスキル・経験における差を認識してもらい、その差を埋めるために必要なことを言語化し、それを得るために自社に転職する、という選択肢を提示すること。
キャリアにおけるストーリーを見せることなのではないか、と思う。
だからこそ、相手と一番最初に接点が持てるカジュアル面談や一次面接においては、表面的な会社の紹介をしておしまい、ではなく、深く相手の理想とその現実のギャップを知ることに重きを置き、ストーリーを提示することこそが、私たち採用担当がすべきクロージングなのではないか。
(独り言:新卒採用においては割とこの手法がリクルーターの動き方的に一般的な気もするが、中途採用でも取り入れていった方が良いよなぁ…)