田舎の温泉の下着泥棒

hizamakura
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地元にいた頃よく行っていた温泉がある。そこは山奥にあるひなびた温泉宿で日帰り入浴料金も安かったし、そもそも私はうら寂しいひなびた宿や温泉が大好きだ。

ある日仕事帰りに友人を誘い一緒にその温泉に入りに行くことにした。何せ山奥の温泉宿だからいつ行っても空いている。

その日は私たちの他には、登山帰りのワンゲル部女子大生3人と60代と思われるおばちゃんだ け。

女子大生のキャッキャした声と、おばちゃんの咳を聞きながら友人と二人温泉を堪能して上がってみると、脱衣かごの中が荒らされている。

よく見ると下着がない。

・・・と、隣で友人が爆笑しながら「これ! ○○ち ゃんのパンツじゃない?」と言う。

私のおパンチィが友人の衣類に挟まっていた。

ブラは?ブラはどこだ!盗まれたかっ!

そう思って周囲を見ると私のブラが窓の所に丁寧に広げて飾られている。

さっきまで爆笑していた友人が悲鳴を上げたので何事かと思ったら、友人のブラとおパンチィは体重計に装着、展示されていた。

これは何者かが侵入してイタズラしたに違いな い。

私たちは慌ててまだ入浴中の女子大生達とおばちゃんにその事を告げた。

すると女子大生達が何やら騒いでいる。どうやら女子大生の下着は三人とも使用後のも使用前のも全部なくなっているらしい。

盗まれたのだ。女子大生のは。

彼女たちは盗まれた事のショックよりも、これから帰るのに下着がないという状態に困り果てている。

皆がわぁわぁ騒いでいると突然おばちゃんが大きな声で「あら! 私のだけなんにもいじられていないわ! 」と怒ったように言った。

ちょっと見てみると衣類の一番上にドーンとウィッグが乗っている。

いや、ウィッグというよりカツラといった方が 適切かもしれない。

さすがにそれは、下着泥棒もビビったであろう。

その後フロントに下着泥棒の事を告げに行った。当然だ。窃盗罪だ。逮捕してもらわないと。

ところがフロントで対応する中年の女性、どうも歯切れが悪い。

警察には後で電話します、とか、今すぐはちょっと、などと言い驚いている様子も慌てている様子もない。

私は密かに、あの下着泥棒はこの温泉宿の関係者による犯行だと、しかも常習犯ではないか と・・・その時ちょうどロビーのテレビに映し出されていたコナン君を見ながらそう推理した。