最後のキーボード(2024年版)

tuxedocat
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2年半ぶりにこれで最後だと思えるキーボードを手に入れた。Keychron Q8 Max. 65%のAlice配列の特殊キーボード。これでやっとこの旅も終わる、と少なくとも今は思っている。

Keychron Q8 Maxと専用のパームレスト

奈良時代より前にHHKB Liteと出会い、その後奈良時代に奨学金で買ったHHKB Pro2をかなり長い間使ってきた。だんだんと、HHKB Pro2のキーの押し心地(今ならTactile感と表すべきか)に違和感を覚えて、同時にプラスチック筐体に価格に見合わぬしょぼさを感じてしまってきたところで、mechanicalkeyboards.com に出会ってしまう。そこで興味を持ったVortex Pok3rというHHKBと同じぐらいのサイズ(今でいうと60%レイアウト?)のメカニカルキーボードから、第二期が始まった。Vortex社は当時は結構色々な機種を出していた台湾のメーカー。金属筐体で小さいのに重厚で、本体側でのキーリマップ・レイヤー機能、そしてCherry Silent Redスイッチを備えていた。

その後、会社用にVortex Tab 75、持ち運び用に(その後持ち運んだことはない)Keychron K2、左右分割型を試したくて知人から譲ってもらったErgodox(合わなかった)、左右分割型でもこれならと思って買って成功したMistel Barocco MD770を経て、2年半ほど前にDygma Raiseを手に入れた。これがとてもよかった。

見た目は65%ぐらいのコンパクトな左右分割型のキーボードで、筐体を合わせるとごく普通のQWERTYキーボードになる。買うときに少し迷ったリストレスト一体型という作りも、使ってみると都合がよかった。何より、カスタマイズ性が優れていた。ハードウェア的にはホットスワップ対応で、そこはこれぐらいの価格帯のものであれば当然という感じだが、カスタマイズ用のソフトウェアの出来が良く、少なくとも当時の主要OSSファームウェアより使い勝手が良かった。

ただ弱点はその薄型かつキーの根本まで露出している筐体であり、当時は気にならなかった音や押し心地に、不満というほどネガティブではないけど、もっと良いものがあるのではという欲が湧いてきた。少し前から海外のキーボードカスタム系のYouTuberの動画を観ることが多くなっていたのもそれを後押ししていた。

寄り道として今度こそ外に持ち出す用途も考えて、といいつつただロープロファイルの見た目が良いキーボードを試してみたくなり、NuPhy Air75 V2を買っていた。ここ数年ずっと静音スイッチを使ってきたが、ロープロファイルの制約でそういうオプションはまだ存在しない様子だ。家で使う分にはこの打ち心地はとてもよく、次は通常のスイッチも選択肢に含めようと思った。

今回の条件は、65%ぐらいのコンパクトかつ左右分割型かそれに準ずる配列で、QMK/VIAのような汎用カスタマイズ機能があり、"Thocc" な音や打ち心地がレビューで確認できているもの、そして筐体の作りが重厚なものという4つとした。探しているとAlice配列とかArisu配列と記されたものを見かけて興味を持った。この条件が探索空間を一気に狭めてくれたので、おのずとKeychron Q8 Maxに決まった。

セールのタイミングだったのでセール対象だったQ8 Proにすれば少しお金が浮いたと思うけど、筐体に追加された吸音フォームやシートの数を見ると、Q8 Proを買ってからオプションの吸音アップグレードキットを装着してもMaxと同じ仕様にはならないみたいだし、買った直後にスイッチを全部外す作業は差額より手間のほうが大きいなと思ってMaxにした。自分はLinearスイッチ一択なので、Gateron Jupyter Red仕様にした。注文から到着まで5日ぐらい。

感性的な部分では触ってすぐにこれまでと別次元のものだと認識した。音はするのにむしろ心地よい感じ。Thoccとはこれのことか。

デフォルトのキーマップはちょっと使い勝手が悪かったので、Dygma Raiseに極力似せた設定に変更した。VIAのUIはDygma RaiseのBazecorほどではないにしろ、十分便利だ。OSSだし。

これでついに旅が終わる。あとで本当にそうだったか振り返りましょうか。

Alice配列はBが左右どちらにもある

Alice配列のこと全然知らないまま買ったけど、Bが左右両方にあるのは初見ではちょっとびっくりした。総務省のサイトで調べてみると、2.4G・BTそれぞれのモジュールは技適取得済みで、本体側も同じ基盤の機種も取得済みの様子。複数マシン切り替えをディスプレイのKVM機能で賄っているため、自分は有線接続で使いますが。

@tuxedocat
undercat diary: 猫たちとの暮らし、擬態する社会性、京都の街。