愛しいお茶屋

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 近頃暑くなってきたので、長年愛し続けているお茶屋さんで麦茶を六キロ買った。業者かよ。

 そこの小さなお茶屋さんとは、店主や店員さんと何年も顔なじみで、中々この状況で店に伺うことは出来なくなってしまったものの、ずっと茶葉の購入を続けているし、隙あらば目についた生き物全ての首根っこを容赦なく鷲掴みにして沼に引きずり込もうと日々企んでいる。

 近頃はすっかりWebショップで購入しているのだが、その際に備考欄へ一言添えるようになっていた。ラッピングのお願い、全然急いでいないのでゆっくり発送してほしい、それから、お身体にお気をつけてくださいの一文。

 細やかなお茶屋さんとのやりとりは、もう何年も続いている。気づけば自分は店からの常連扱いになっていた。おかしい。こっそりお茶を購入しているだけだったのに。

 そんなお茶屋さんへ商品を注文すると、必ずお心遣いを頂くようになってしまった。ありがたいよりも申し訳なさが勝ってしまうのは、どうしようもなく自分がひねくれているからだ。自分はただいろいろと購入しているだけなのに。

 お茶屋さんからは、商品明細と共にA4サイズでのお手紙がいつも届く。自分の拙い一行二行の言葉に、丁寧に近況を書き添えてくれるのだ。女神好き。

 にこにこしながら恭しく手紙を手に持ち読んでいると、最後の一文に目がいった。

「心ばかりですがどうぞお受け取り下さい」

 顔から表情が瞬時に消えた。麦茶が六キロ入った箱の中を漁る。

 心ばかりの量じゃねーぞ!!!!!! オイ!!!!!!!!!!

 箱の中をよくよく見ると、その店で自分が一番好きなお茶のティーバッグと、誕生石の名前がついたお茶の箱が入っていた。偶然にしてはあまりにもできすぎているラインナップ。

 きっと、覚えていてくれたのだ。店主や、店員は。それでいて、こういう粋なことをしてくれるのだから、お返し爆弾が止まらない。

 覚悟しろ。頂くばかりの俺じゃない。こっそり内緒で、おいしいおやつを送るように手配はかけた。いつものように、秘密のサプライズをしかけてやるのだ。大好きなあなたたちのために。