物欲センサー

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 通っている接骨院で、現在キャンペーンを行っている。来院すると一回、くじを引けるのだ。そのくじを引いた合計の金額に応じて、来月値引きをしてもらえるお得なもの。しかも、最終日に引いたくじの額のみ倍になる。

 金額は全部で三種類。百円、五百円、千円。

「物欲センサーをオフにしてくださいね」

 くじをひく自分へ、先生が告げた言葉。引いた額は五百円。わりといい額。今月、残り三回くじを引くことができる。年末年始で忙しくなるし、予約を三回入れた。「残り三回引けますね」そう笑う先生へ、元気よく言った。

「あと三千円分引けばいいってことですね!」

 一瞬の間。すかさず先生が呆れたように笑う。

「今物欲センサーの話したばっかなのに! 物欲の塊じゃないですか」

「物欲センサーを倒せばいいだけですよ」

 どこの蛮族だ。

 接骨院から出ていく間際、「物欲センサーを倒せます?」と訊ねてきた先生へ、先程までの勢いはどこへやら、「百円三回引きそうな気がします」とぼやいた。欲に塗れるとろくなことにならないのは既に承知済みだ。でも三千円引けたらいい。言葉には力が宿るというからな。