ソニーのコンピュータサイエンス研究所の研究者が作った協生農法というものを知った。区画を決めてさまざまなタネを混ぜて撒き、雑草や虫も放置して自然の状態で育てる農法らしい。種まきと収穫以外やることがないらしいので、そのお手軽さから人気を集めているとのこと。
農業研究の積み重ねを全否定するような農業の原形に近い。
この1万年くらい少ない人間で効率よくカロリーを生み出す仕組みを作ることを目指して農業は発展してきたが、最近は栄養バランスとか、食の多様性、食材の自然さみたいなのが注目されるようになり、最適化の方向性が変わってきた結果、ある種の原型に戻ったのだろう。原型に戻ったことで作れなくなる作物はあると思うし、一部の食べ物は不味くなりそうだから、全部が全部これでいいわけじゃないと思うけど。
それに乱雑なので収穫は結構大変だと思う。現代では現代人の趣味的におこわれている感じだから生産量は大して気にしてなさそうではある。
ただ、複雑な収穫がロボットとAIによって自動化され、労働力が無限になる時代にはこの形式はむしろ適しているのかもしれない。
最近は仕事で企業におけるナレッジ管理がAIによってどう変わるのかを考えている。人間はとにかく暗黙知を乱雑なメモでいいからアウトプットしておけば、AIが整理をしていってくれる、欲しい情報はAIに聞けば教えてくれる時代が来ている。とにかくタネを撒き、選別、収穫、整理はAIとロボットに任せる未来の協生農法とどこか似ているところがある気がする。
整理という行為は人間にとって結構なコストがかかる行動なので、それがなくていいように工業は発展してきたけど、整理のコストがゼロに近づいていくのであれば、最適な社会の姿はより自然と協調した、乱雑さを許容できる姿になるのかもしれない。
次回のセミナーのネタにしよ。