あみぐるみは錬金術のようだ。ただのひもからなんやかんやしてぬいぐるみのような様相になる。(縫わずに完結するあみぐるみは少ないのでぬいぐるみと言っていいかも……?)私独特の感性ではなく、わたを布で包んで目がついていれば、うっすらと「自我」とかを一方的に感じてしまう人がいるのではないだろうか。ぬいぐるみをつくることはただの布、ひもに魂の種のようなものを包み込んでしまうことだ。
初めてのあみぐるみは非常にたいへんだった。およそ編み図通りに平たいものが編めるようになった私は正直なめてかかっていた。あみぐるみにいいぞと銘打ったもこもこな糸は次に編むべき穴が見えない。何度もほどくと毛が抜けへたり、筒を編むと勝手に斜行した。流石につらくなり、未来の自分に託した。
そして気が向いた未来の自分がなんとかパーツをそろえるも、挙句に糸が足らず残り糸から使えそうなものを充てた。頭と胴体、手足を付けるときの針仕事は「こんなことしたいわけじゃない」とゴネながら作業した。
さて、アフリカンフラワーというモチーフがある。繰り返しの手順で好きな花弁の枚数、大きさの花模様に仕上げられる手法だ。それらを繋ぎ合わせて生き物を作っているのがHeidi Bears氏。https://www.ravelry.com/designers/heidi-bears
余ったソックヤーンを隠蔽するのにばっちり:)とあるのがとてもチャーミング。細めの毛糸で編み物する人は何にもできないけど捨てるに惜しい量の糸をたくさん隠し持ちがち……
手法として同じ形を複数枚編んで、チュートリアルの通りに接着する。先のうさぎよりもプラモデルやペーパークラフトの感覚に近いはずだ。そう思ってはじめた2023/12月……
ここまでで3月末、編み方3種類くらいでやってるのに、そのくらいだからこそ気が逸れやすく一段編んではSNS、一段編んではパズルゲームと時間を溶かした。あみぐるみがギチギチにわたを詰めることもよくわかっておらず不足したし、もう綴じてしまったので直しようもないがまだ足りてないので顔の彫りが深く後ろ足が弱い。
それでも完成してとてもうれしいのでこうして字を書いている。次は何色にしようかな、と軽率に考えてしまう。こんなに時間かかったのに、でも作業に飽きさえしなければ難しくないので。
編み物は時にフェミニズムやその周辺の活動にアイコンとして選ばれることがある。編み物×花柄の(だいぶ固定観念は緩まったが)フェミニンな恐竜から思い出すのは世界で初めて首長竜の化石を発見したメアリー・アニングだ。(「きょうりゅうレディ」良い本です)首長竜は恐竜の分類ではないことはそっとしておいてほしい。そして現代に至っても「恐竜はみんなのもの」とダイナソー小林先生は説く。
恐竜はみんなのもの、編み物も花柄もみんなのもの
あと以下は作った時の糸や分量、メモなので、not恐竜編み物勢はここまでで閉じて構わない。
デザイン: Puff the Magic Stegosaurus by Heidi Bears
かぎ針:2/0 (推奨は1.75mm)
毛糸: ・アミティエ中細 (30g/115m ポリ100)紺66g みどり44g ・ポストカード (80g/450mアクリル100)22g 100円の玉でも足りたね…
わた:140gくらい(まだ足りてない感じある) ・思ったよりギチギチに詰めねばならない。袋詰めのわたの見た目がそのままの量になるつもりで・2024時点のダイソーのわたは繊維が細く長いため針が抜けなくてたいへん
仕様:トゲトゲはどうやってもパタパタするもの、たぶんトリケラのフリルもぺたんとしやすい