KUURIK URON 本文に入りきらなかったあとがきのようなもの

uchili0315
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公開:2025/11/24

昨日は文学フリマ東京41、ありがとうございました。

今回の新刊、『KUURIK URON』は私個人が気ままに制作したZINEだったので、(誰が読むんだろう…?)と自問しつつ、いや勢いで好き勝手にZINE作ってもいいだろ!売らせてくれよ!の気持ちが勝ったため、初の個人誌となりました。

先ほど、至るまで同様にBOOTHの通販を開始しました。よろしくお願いします。

うろんが家に来てから、日々のうろん日記を「しずかなインターネット」上のこちらでアップし続けておりますが、日記読んでるよ〜!と、友人知人や怪談仲間や人形仲間から声をかけてくれて、うろんの成長はいろんな人に見守られているんだなぁ、と嬉しく思っております。

低予算かつスピード制作した本なので、あとがきまで入れる余裕がなかったのですが、最後まで読んで下さった方のために、こちらにあとがきのようなものをひとこと述べたいと思います。

私が飼ってるうろんの本です!と謳いつつ、中身は前半丸々、いやそれ以上にうろん以外のねこの話をしてしまいました。時を遡り30年前の話からはじまり、実家で飼っていたねこから、これまでに住んだそれぞれの街で見かけたねこまで紹介していますが、本に出てくるうろん以外のねこは全員この世にはおりません。また、現在のねこの飼育倫理と照らし合わせると、過去のねことの関わり方に疑問を持たれる部分もあったかと思います。私自身、たとえば30年前を思い出しながら「室内飼いだったら、めんちゃんとぷりんちゃんを一生涯大事に育てられたんだよなぁ」と室内でぬくぬくと寝ているうろんを眺めながら思いました。一方で、外で悠々と暮らすねこをたくさん見てきたために「完全室内飼いで外の世界を歩けないのはストレスになるんじゃなかろうか」という心配もありましたが、実際うろんと暮らしてみると、うろんは外に出たいと一切思わず(なにせうろんの外出=ケージに入れられて病院に連行なので)、室内で思いっきり走って暴れています。幸い二階建ての家なので、運動不足にならずに済んでます。

連れとの付き合いも長いのですが、毎日うろんを世話しながら四六時中うろんの話をしていて、しかしうろんが来るまでの日々も、毎日ねこの話を飼ってもいないのにしていました。人は誰しも事あるごとに何度も同じことを話す、武勇伝とかエピソードトークの類があるかと思います。私の場合はねこの話がそれでした。ぐれの食い意地張った行動とかめんちゃんが刺身食べてうめーと言う話とか、何度も耳にタコができるくらい連れに聞かせ続けたので、この本に書いてある過去の話は連れに一度は話している内容だろうなぁと思います。しかしながら、あれだけ話したねこのエピソードトークは、うろんが来たことによって上書きされました。過去のねこ話に割いた時間が、うろん話に取って代わりました。

ぐれは16歳まで生きていて、そのうち最初の9年間を実家で一緒に暮らしました。9年間、毎日ぐれを撫でたり抱っこして嫌がられたりしていて、様々な一挙一動を見てきました。見てきた記憶の中から印象に残った出来事を思い出したり話したりしていて、それは全てかけがえのないものですが、忘れてしまった記憶も沢山あります。ぐれの記録は殆どガラケーに入っていて、画像や動画を再生する術がありません。ぐれとの日々に後悔はなくても、容易に忘れてしまうこと、ぐれを思い出すための記録を保持していないことに対する後悔はあります。

うろんは6月22日に我が家に来ましたが、半年も経たないうちに見違えるほど成長しました。たった5ヶ月前のうろんの、まさにこねこという感じの写真すら、既に懐かしく思ってしまう。

うろんの楽しい毎日を未来の私が忘れてしまわないように、日記を書いているのだと思います。うろんと暮らす中で、過去のねこをこれ以上忘れてしまわないように、今のうちに記憶を文章にして記録せねばならない。うろん本は、そのための本です。読んでくださった方の記憶に、ちょっとだけでもうろんたちが留まってくれたらいいな、という期待をこめて。

卯ちり

@uchili0315
卯ちりと暮らすねこ、うろんの日記