一生使い切れないのかなと思っていたヘアオイルをもうすぐ買い足さないといけない。こんなことってよくある。
袋にたくさん入ったお菓子も、マックのフライドポテトも、見えないところから無限に湧き出しているんじゃないかと思うときがある。
それなのに気づくとさっぱり無くなっている。
不思議な感じ。
おそらく、ポンプを押してヘアオイルを手に出した時そこに出てくるのはただの液体ではない。手のひらに広がるのは無限にも思える、快も不快も飲み込んでいく時間だ。出てきたそばから肌の温もりが移って、時間は私のものになる。
そして私はその時間を髪に揉み込む。
お菓子もポテトも、伸ばした指に、誰のものでもなく私の所有物になった時間がつままれる。そうして私は私のものになった時間を口に放り咀嚼して飲み込む。私に飲み込まれた時間は消化され吸収されて私の血肉に変わる。
ドラッグストアの棚で新しいヘアオイルを手に取りながら、そんなことを考えた。