僕の見える世界と彼の見える世界は違う。
ガチャリという音を立てて扉が開く。
この瞬間が好きだ。
僕は対等と感じてるけど、彼はどうなんだろう。
歩いていると、向かいからも散歩中の人たちが歩いてきた。
めちゃくちゃ尻尾振ってるな。よっぽど散歩が嬉しいんだろうな。
すれ違いざまにチラリと目が合う。
めちゃくちゃ嬉しそうなキラキラした目だ。
僕の見える世界には、そう見えているけど、彼の世界はどんな風に映っているんだろう?
歩き続ける僕と彼。
「ワンッ!」
少し離れたところから、鳴き声が聞こえた。
どうも人間に慣れていないので、暴れてる子がいるようだ。
懐かしいなぁという気持ちを持ちながら、過ぎ去る。
あぁ、そろそろ家だ。
終わってしまう。彼は、散歩を続けたいのだろうか?どうなんだろうか?
そんなことを思いながら帰宅のドアを開ける。
ガチャリ。
それが始まりと終わりの合図。
一緒に歩いて帰るだけだけど、彼の目に映る世界はどんな感じなんだろう?
家に着き、扉を閉めると
彼は、僕の首から輪を外した。