「Bitcoin Tokyo 2024」に参加してきた。このカンファレンスは、ビットコイン業界の最新動向や技術を学ぶ絶好の機会である。9月21日と22日の2日間にわたって開催され、私は両日参加した。
会場に足を踏み入れた瞬間から、独特の雰囲気に包まれた。それまでウェブ上でしか知らなかった業界の人々が、まるで日常の一コマのように、あちこちで談笑している光景は驚きだった。ビットコイン界のレジェンドであるルークと初遭遇したのはトイレだった。彼の存在感は、トイレのなかでさえ際立っていた。
カンファレンスは、Day 1は初心者向け、Day 2は中級者以上向けという配分で、参加者のレベルに合わせて学べるよう工夫されていた。個人的には、Day 2のセッションに特に興味を引かれた。
印象に残ったセッションのひとつは、「ビットコインマイニングの分散性を取り戻すために」と題されたルークの講演だ。彼は現在、マイニング事業「OCEAN」を手がけている。ルークは、マイニングの分散化の重要性を熱心に語った。「1つのマイニングプールにマイナーが集中すれば、それは実質的にマイナーが一人しかいないのと同じだ。そうなれば、簡単に検閲されてしまう。だからこそ、マイニングを分散させ、個々のマイナーがどのブロックを採掘するか決定する権利を確保する必要がある」という内容だった。
しかし、ルークの講演で最も心を打たれたのは、彼が翻訳アプリを使って日本語で話そうと努力していた点だ。けっして流暢とは言えなかったが、聴衆に直接語りかけようとする姿勢に深い感銘を受けた。業界のレジェンドは、今も新しいことに挑戦し続けている。
もうひとつ印象的だったのは、「ミャンマー軍事クーデターで突然日常を奪われ、ビットコインのおかげで新たな日常を手に入れるまで」というセッションだ。Winさんという方が動画出演し、ミャンマーで起こった苦難を伝えてくれた。Winさんは軍事クーデター後、人権擁護活動をしたことで政府から指名手配され、祖国を脱出せざるを得なくなった。脱出時に持ち出せたのはバックパック1つだけだったが、頭の中に12単語(ビットコインの秘密鍵を復元するためのシードフレーズ)を記憶していたおかげで、新天地でも早期に経済的な基盤を築くことができたという。
このエピソードは、ビットコインの真の価値を如実に示している。日本で軍事クーデターが起こる可能性は低いかもしれないが、税負担の増加、慢性的なインフレ、規制強化といった問題は充分に起こり得る。実際、日本の政界では資産課税の議論が始まっている。こういった状況下で、ビットコインは個人の経済的自由を守る「ノアの箱舟」としての役割を果たすのだろう。
最後に印象に残ったのは、「ピッチ:Z世代によるZ世代のためのビットコイン普及戦略」というセッションだ。このセッションは、カンファレンスの運営を手伝っていたギバーズのメンバーたちによるものだった。ギバーズは学生主体のボランティア団体で、エルサルバドルへの支援活動などを通じてビットコインの可能性を知ったという。
Z世代の視点から直接話を聞けたのは非常に有益だった。彼らによると、Z世代はTikTokやInstagramを日常的に利用しており、コンテンツに対する目が非常に肥えているという。コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスも重視するため、感覚的に訴えかけないコンテンツはすぐにスキップされてしまうそうだ。そのせいか、彼女らのプレゼンテーションスライドも洗練されていた。シンプルでありながらキャッチーな内容は、上の世代が見習うべき点が多々あると感じた。
このカンファレンスを通じて、ウェブ上では得られない貴重な経験をした。知識だけなら、オンラインでも簡単に入手できる。しかし、業界の最前線で活躍する人々の熱意やオーラは、実際に会って初めて感じ取れるものだ。参加者全員が、ビットコインの未来を真剣に考え、その可能性を追求していた。「Bitcoin Tokyo 2024」は、ビットコイン業界の活気と将来性を肌で感じられる、極めて充実したカンファレンスだった。
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