先日の土日、アメリカの地(具体的な地名は忘れた)で、ビットコインカンファレンスが開催された。今回は、次期アメリカ大統領候補のドナルド・トランプが登壇するということで、従来よりも注目度が高かった。ひとつの事件だ。
トランプのスピーチは、ビットコインに関しては特に目新しいものはなかった。最近繰り返していたように、好意的な発言をしていた。セルフカストディやマイニングを推奨していて、アメリカ人にとってはありがたいのではないだろうか。SNSの反応だと「政治家がビットコインを集めると言っているのは中央集権」みたいなズレたコメントがあった。民間に自由にやらせて、その結果、自国にビットコインが集まればいいという発言が、どう解釈したら中央集権になるのだろうか? ビットコインを準備金にすると言ったからか? しかし、ビットコインを準備金にすることは国に財政規律をもたらすわけで、健全になることはあれど、悪化することはない。そもそもビットコインの分散性とは、政府であっても恣意的に金融政策を変更できない点にある。国が準備金にすることを否定するものではない。明らかに、この手の批判は不勉強である。この手の発言をする日本人アカウントのプロフィールを見てみると、たいていWEB3界隈か投資界隈の人間だった。いつも思うのだが、これらの界隈は表面的な情報は勉強するが、けっして深堀りして学ぼうとはしない。
それはそうと、トランプの発言で一番盛り上がったのは、おそらく「ゲンスルーをクビにする」という箇所だろう。個人的にも面白かった。
個人的な注目度で言えば、CBDCに一貫して反対しているのが大きいと感じた。ビットコイナーでもあまり注目していないようだが、CBDCの禁止はアメリカの財政に大きな意味を持つ。CBDC……中央銀行によるデジタル法定通貨の発行は、どのような綺麗な建前があろうと、政府と中央銀行の権力拡大を意味する。CBDCの支持者は、これによって社会福祉の提供が効率的になると言っているが、それは国民の資産を細かく把握できるようになるからである。政治家や官僚は、国民を把握できるようになればなるほど、国民を管理するための政策を打ち出すようになる。当然、彼らの「柔軟な」財政支出は、金融政策を不安定にし、結果としてインフレが加速する。法律を定めて制御しようとしても無駄だ。今ですら、やってはいけないとされている財政ファイナンスに手をつけているではないか。
CBDCに限らず、政府機関の業務が効率的になるときというのは、往々にして権力の拡大を意味している。良い意味で効率的にしたいのならば、アルゼンチンのように、省庁をまるごと廃止するしかない。
トランプの登壇は、アメリカではもはやビットコインを政治的に無視するのが難しくなったことを意味している。ひょっとしたら、アメリカはハイパーインフレを経験せずにビットコイン本位制へソフトランディングできるかもしれない。もちろん、日本は無理だ。日本はもう財政ファイナンスをやりすぎたので、一度ハイパーインフレを迎えるしかない。そのため、当面の間日本人は国がどうこうと期待するよりも、まず自分の身をビットコインで守ることに集中しよう。
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