最近、杖を手にするようになった。これは腰痛を予防するための選択である。腰の痛みは、時として容赦なく日常を蝕む。しかし、杖を使うことでその負担を大きく軽減できるのだ。私は老人ではない。まだまだ中年の域に達したばかりで、この変化を受け入れるのは容易ではなかった。それでも、自分の身体を守り、痛みから逃れる方法として、杖を受け入れざるを得なかった。
自律神経の問題も私の日常に影を落とす。不調は予測不能で、時にはシンプルな日常活動さえ困難にする。杖はその点でも支えとなり、予期しない体の変調──たとえば、身体のしびれなど──に対して一定の安定を提供してくれる。外出時の恐怖や不安が、この小さな支えによって和らぐ。
電車での立ちっぱなしは、特に苦しい。人混みの中でバランスを取り続けることは、腰だけでなく精神にも負担をかける。しかし、杖を持つことで、その苦痛が大きく軽減された。杖に寄りかかりながら、長い車内時間を過ごすことができる。それはまるで静かなる守護者のように、私を支えてくれる。
そして、杖は心理的にも良い影響がある。一本の杖が手にあるだけで、歩く速度は自然と穏やかになり、このゆっくりとしたペースは、私の内面も自然と静かにする。杖と共に歩むことは、自己との対話を深める貴重な時間となっている。