結果と過程の関係を考える

uhiroid
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先日、スマブラ界隈で興味深い話題があった。近年では日本選手の活躍が目覚ましいのだが、そのことについて、アメリカの選手たちが議論を交わしていたのである。

アメリカ選手らによれば、日本人は1試合ごとの結果よりも、自身の上達を重視しているのだという。そのため他選手に対して質問もよくするし、フリー対戦(大会の会場でトーナメントとは関係なく、好きな選手と戦うこと)も積極的に行う。そうした姿勢が近年の活躍につながっている。一方、アメリカの選手はというと、試合における勝利を重視しているため、手の内を明かすことを嫌い、あまり意見交換やフリー対戦に積極的ではないという。彼らは、それを「エゴ」という言葉で説明していた。アメリカ人はエゴが強すぎる、日本人にはエゴがない、というふうに。

だが、ここで、スマブラシーンから離れて、一般的なビジネスシーンに目を向けてみると、まったく違う光景が見えてくる。日本企業はプロセスや調和を重視するあまり、アメリカ企業と比べて、成果を出すことや生産性上昇といった要素がおざなりになりがちという批判がある。

実際、日本の労働環境がそれほどよくないことは、日本人自身もわかっている。丁寧すぎる合意形成や慎重な意思決定が求められることで、報告書の作成や会議の頻度が増えがちであり、また権限も不明瞭である場合が多いため、現場レベルで改革が進まない。規制によって労働市場自体が硬直化していることもあり、長時間の労働が常態化しがちである。無論、労働すれば労働したぶんだけ給料が鰻登りというのであれば納得もあるだろうが、現実は、そういうわけではない。こうした背景には政府によるさまざまな規制が関係しているが、詳述すると話が逸れるため、ここでは取り扱わない。焦点は、結果よりも過程を重視するという日本の慣習が、ビジネスシーンではデメリットになっている、ということである。

さて、ここまでの話を踏まえたうえで、結果と過程の関係をどう考えたらいいだろう? 一見すると、スマブラのプロシーンでは、過程を重視することでうまく行っているようだ。反面、ビジネスシーンでは、まったくうまく行っていない。我々は、結果と過程のどちらを重視すべきなのか?

しかし、忘れてはならないのは、過程というのはあくまで結果を出すためにある、ということだ。スマブラの日本人選手たちも、プレイが上達することだけが目的でやっているわけではない。彼らが求めているのは、上達した先にある勝利である。つまり、結果と過程のどちらを重視すべきかという問いの答えは明白で、結果なのである。

そのうえで、どのような過程が最適なのかと考えることが、過程というものに対する正しい問いであろう。

日本のスマブラ界隈は、(おそらく選手たちも無自覚のうちに)勝利のために適した過程を踏むようになった。コミュニティの構成員がそれぞれ上達を目指すことは、コミュニティ全体のレベルを高める。そのなかで揉まれるうちに、自身もまたさらに強くなる。相手のキャラクターへの対策も深まる。そうして王道的に強くなっていたのが、日本のコミュニティなのだろう。

逆に、いつまで経っても結果がふるわなかったり、逆に結果を見失っていたりするのであれば、その過程は、無意味な過程である。こういうときは、それまでのこだわりを捨てて立ち止まり、求める結果と、それを達成するための過程を、再考するしかない。

@uhiroid
人生は哀なり。