本記事は、NOT DESIGN SCHOOL Advent Calendar 2023の12日目です。
NOTのデザイナーさんへ デザイナーとしてお仕事する前に自分の生き方をデザインし、環境を整えるのはとても大切なことだと年々実感しており、そのちょっとした心がけのようなものを書いてみたいと思います⭐️
過去に配信したニュースレターに加筆編集したものです。
イタリア・ボローニャにて1ヶ月のワーケーション中に地元の人と政治と海外、特に英語圏への憧れについて語り合ったお話。
この海の向こうには何があるんだろうと思ったことはありませんか?
わたし? 一度もないです。
終了!
というのは冗談ですが。
小さい頃から「どこかから来た人」や「どこかから来たもの」はとても身近で、生活の中に海の向こうがあるのが当たり前でした。
祖父は戦前からアイスクリームを家で作ったり、スコットランド人とイタリア人の友だちとロッククライミングをやっていたような人だったらしいし、わたしが7歳の時初めて自分で買ったアルバムはABBAの「ARRIVAL」だったし、母の特に仲良しだった友だちは台湾とアメリカの人で、子供たちはそれぞれハーフJapaneseハーフTaiwanese、ハーフJapaneseクォーターFrenchクォーターEnglishで、わたしにとって彼らは「外人」「ハーフ」ではなくただの友だちで。そしてうちの親戚は結構な数の国に散らばってたりするし。
でもこういう環境のお陰で、この世界には自分が知らないものであふれている、自分とは違うものが存在しているというのは何となく小さい頃から分かっていたんですね。
英語圏への憧れ
ボローニャの街を散歩中、政治的集会に遭遇してしばらく見物してたんですが、そこにいたボローニャのジモティーノであるFedericoといろいろ話をしてたんですね。
その集会の政治的信条は右寄りのものでその詳細は割愛しますが、Federicoは「自分だってイギリス、英語を話すことにめちゃめちゃ憧れてたから、その国に住んでみたい気持ちはわかるよ。でも不法移民はダメだ」と言っていて、不法移民の件はさておき彼が英語を話すことにめちゃめちゃ憧れたきっかけに興味を持ったんでツッコむことに。
じゃ何がきっかけでイギリスに憧れるようになったの?
U2だね。
Bonoが歌ってるのがとてつもなくかっこよく見えちゃってさ。オレもこの言葉を流暢に話せるようになって、バンドでも組んだらモテるんじゃないかと思ったんだよ。
結局モテるかどうかなのか。しかもBonoはBritishではなくアイルランド人なんだが。
毎日家の前に女子の行列できてるんじゃない? 英語普通に流暢じゃん。
それが全くアカン。行列どころか彼女いないから!
でも語学のおかげで仕事には恵まれてると思う。実は前にロンドンに住んでてBrexitを契機にイタリアに帰ってきたんだよ。君はどう? 君も英語や英語圏に憧れてたの?
英語への憧れは全くない。わたしにとってはただの言葉だよ、英語は。むしろ憧れてるのはイタリア語だよ。
ええ!何でっ!!! 何でイタリア語?こんなマイナーな言葉を! 世界でもd(グダグダととても長いので省略)
言語に憧れる=文化に憧れる、惚れ込む
なのかもしれない。と話をしているうちに思えてきた。小さい頃から身の周りに海の向こうが当たり前にあり、特に英語圏のものや人は日常的に家に出入りしていたので、人間、日常に憧れることはないよな、と。
初めてイタリア語をまともに聞いたのはロンドンのSloan SquareにあるSaatchi Galleryというお気に入りのギャラリーに行った帰りに、歩道一面に広がった団体がバカでかい音量で話をしている現場に遭遇し「どけや!ぶちくらすぞ(博多弁)」と思っていた時に耳に飛び込んできた世にも美しい旋律の言葉。。。
何なんだこの言葉は!美しい。美しすぎる。歌を歌っているみたいだ。
これがイタリアにハマった瞬間だった。
こんな感じで電撃的にイタリアと出会って以来、未だにどハマり中だし多分一生どハマりのまま終わると思ってる。また気が変わるかもなので自分でもわからないけど。行政がクソだとか、経済の調子がいまいちとか、もちろんイタリアも問題山積みですがそんなもの世界中どこも住んでも同じなんですよ。
Federicoにも言ったんですが「自分の中で、複数の異文化が溶け合って、点と点が繋がって一本の糸になり、その糸が縦と横方向で絡み合って、一枚の織物が出来ていっている感覚」なんですね。
Il sole illumina.
太陽は輝く
憧れの存在は太陽のようなもので、それを見つけた日から生活や心が燦々と照らされる。FedericoにとってはU2であり英語だった。わたしにとってはイタリアだった。
あなたにとっての太陽は何ですか?