7月2日/私の声が小さかったみたいだ

うき
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朝4時に猫に起こされた。寝室の隣の居間でなにやら聞いたことのない声で長々と鳴いている。鳴いているというより、喋っている。ニャーンでもウニャンでもなく、明らかになにか意図を持った言葉を長々と喋っている。声の調子的には、一人で昼のワイドショーを見ながらコメンテーターの適当な話にツッコミを入れる主婦のような、「くだをまく」というような。

あまりに長いし声もでかいのでどうしたどうしたと思いつつ、助けを求めるような感じではないし、あと眠いし、(あと1分続いたら様子見に行こ)と目を閉じたままでいた。猫はすぐに静かになり、間もなく半開きだった寝室のドアを押し開けて私のベッドに飛び乗って、股の間で寝始めた。なんだったんだ。


用事があって実家に立ち寄った。ついでに野菜を採って帰ろうと畑に近寄ったら、遠目でカラスの模型?が逆さ吊りされているのが見えた。物騒な吊るされ方だな。そういう拷問みたい。ぼや〜と畑を見つめる私を見て、母は「ああやって死んだの吊るしとくとカラスが寄ってこなくていいのよ〜、賢いよね〜」と朗らかに言う。

え?死んだの?あれ模型じゃないの?「あ?あれ偽物だよね?」と問う私。なぜか母は答えず、無言で畑へと進んでいく。怖い。農家は作物を守るためなら害獣害鳥に一切の容赦をしないことは幼いころから知っている。祖母が納屋の罠にかかってもがくネズミをごく自然な手つきで地面に叩きつけ「こうしないとずっと生きとるから。一発首を折っちゃるのがいい」と言っていたあの日のことを思い出した。しかし直接的に商品に害を及ぼすネズミをひっ捕らえて対処するのとは違って、カラスを捕らえてその死骸を晒し同族を遠ざけようとするのは、まあ、有効かもだけど、すごい、戦国時代の晒し首と同じだ。お前もこうなりたくなきゃ大人しくしな、という。すごい手を使うぜ、我が母。

全然偽物だった。変な含みもたすなよ。

育ちすぎたアスパラは気持ち悪い。

帰宅したら猫が台所に落ちてた。

寝まーす