3月2日/豚丼

うき
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引越し準備あれこれのため、弾丸で実家帰省中。実家で飼っているチワワ4歳は、およそチワワと思えぬほどにでかい。両親がチワワ赤ん坊時代に先の健康を考えず好き放題に甘やかしてしまった故の肥満体なのだが、にしたって元はチワワの骨格なのにこんなにでかくなっていいの?ってくらいでかい。

この写真だとあの驚異的でかさをあまり伝えることができず、悔しい。本当にでかいのだ。密度もすごい。床に寝そべっている姿は樽のよう。お座りしてお手手の隙間から見えるたんまりとした腹肉。背中を軽く叩くと中身がみっっっちり詰まった、ぺチ!という音がする。

なんせ体が重いので、人間の膝の上まで来るのすら一苦労。私の膝の上で胸を反らせ誇らしげに座るチワワをバックハグすると(人間の2歳児だ……)と思う。そのくらいでかい。

もう、ちょっと、こんな太らせるのはもう虐待の域になるから、痩せさせなね。と両親にやんわり伝えている。相当大変だとは思う。でもここで頑張らなきゃ、まだチワ生は長いのだから。

🐷

母親が、近所にできた蕎麦と豚丼を出す店がおすすめだと教えてくれた。

「私はね〜普通の豚丼を食べて、お父さんは豚丼とそばのセットにしたんだけど、豚丼がまあすんごく多くて」

「そうなんだあ」

「そばとセットになってる方のちょっと小さい豚丼で充分。セットの方の豚丼はね、5:7みたいな」

「え?何が?」

「ご飯と豚肉の割合が5:7みたいな感じで、ちょうど良さそうだったわ」

「5:7?」

「そー、あんくらいでいいの、私にはね。あっそれはそれとしてさー親戚の○○くんがさー」

話は豚丼を離れ次々と展開していく。私はそれに適宜相槌を打ちつつも、瞬時に

母親が言わんとしているのは、蕎麦とセットで来る豚丼一丼あたりの米と豚の割合が5:7だった。ということではなく、

通常の豚丼の米と豚の量をそれぞれ10として、セットの豚丼は米が5割、豚が7割くらいの量の小さめの豚丼だったので、ちょうど良さそうだった。

ということだと、理解した。

ふふ、こう書くとなんてことの無い話だね。

会話って皆当たり前にしてるけど、実際口に出してる内容って支離滅裂で前後通ってなくて意味わかんないことばっか。それを、身振り手振り視線声色雰囲気過去にその人が言っていたこと……いろんなのを総合して、なんとなくこうかな?で受け取って、成立してるようなしてないような振りをして、意志を共有したようなしてないような気になって、連帯したり、しなかったり。そういう高度なことを、世界中の人間たちが毎日毎日毎日毎日毎日やってる。

怖。「話せばわかる」だあ?話してわかんないことの方がこの世には多いに決まってる。そいつが本当に思ってることなんて、何日会話し続けたって理解できるわけがない。脳で言ったつもりでも口から出てない言葉は多くて、仮に出せても受け取り側の脳内でその言葉は簡単にねじ曲がるんだからさ。話してわかるって言ってるのは、1の話から150を知った気になってる愚か者だけ。

母親の言った豚丼5:7だって、私は娘として完全に攻略した気でいるけど、本当は全然違うかもしれない。そしてその真実を知ることは今後一生、ない。

ふう……

何の話?

寝まーす

豚丼 完