ただでさえ転勤前の引き継ぎや残務処理などやることは多いのに、土曜夜の職場からの呼び出し、そこからの徹夜〜昼まで作業により潰れる日曜、なぜか3月になってから異様に気合いが入りはじめた上司の主導で新たに降って湧く仕事、隙間を縫って無数に入り続ける送別会、終わらない引越し作業。ここ二週間、毎日毎日毎日眠かった。多忙なせい、といえば聞こえはいいが7割くらいは酒による疲れ由来のダルさ。
これまでも二日酔いになるたびに「もう二度と酒は飲まん」「酒は最悪」とボヤいてはいたが、一発ドカンと飲むダメージよりも二週間継続して酒を飲むことによるダメージの方がデカイというのは盲点だった。自分の胃腸と肝臓が涙を流している様がありありと見える。
今週末はようやく飲み会も仕事もない土日だったのだけど、引越しの関係で色々と手続きを進めねばならず、自宅から250キロ離れた転居先付近まで車で爆走した。土曜の朝に出発、昼過ぎには目的地について夕方に用事を全て終え、夕飯食べにカレー屋向かってたら謎の渋滞に巻き込まれ、ほげ……とそのへんで休憩して、日曜午前1時に帰路へ。どこか宿を取っても良かったけど最近はどこも高いし、なにより荷造りが本当になにひとつ、一切、何も終わっていないので、早く帰らなければならなかった。
午前2時半頃の国道沿い。走っているときは車のヘッドライトを点けているので明るいけど、消したらこのへんって何も無いよな……と思って、路肩に止まって撮った。
車で走ってる時ってヘッドライトがついているから明るいし、標識も光を反射してよく見えるし、車内で音楽をかけているから本当に、真夜中に一人でも暗い〜とか怖い〜とかは一切思わない。けど、車を止めてヘッドライトを消して、そしたら標識も全然見えなくなって、せっかくなら音楽も消してみようかな、なんて無音にして、写真を撮るのに窓を開けた瞬間、ぞわぞわぞわ!と、とにかく自分の領域を侵食されたような感じがして怖かった。
冬の畑のど真ん中、無風。車も一切通らないので窓から入り込んでくる音は何も無い。何も無いのに、その無音が自分の背中をすっと撫でてくるような気がして気味が悪い。自分を守ってくれる壁が突然全部消えて、一人で投げ出されたみたい。車から降りた訳でもないのに。いや、降りて撮っていたら逆にこんなに怖くなかったかも。車って外から中がスケスケなのに、なんであんなプライベートの空間って感じがするんだろ。
そのあと山道を走っていたら、狐が2匹と猫が1匹と鹿が3頭目の前を横切っていき、怖くなったので高速に乗った。この怖い、はさっきのような暗闇への恐怖ではなく「轢くところだった……」でもなく「死ぬかと思った」です。私の車で鹿を轢いたら、鹿は無事でも私は無事じゃすまない。鹿はごっつい。かすめただけでも絶対にヘッドライトとフロントガラスは持っていかれる。鹿が出る地域に住んでいる人はこの恐怖がわかるはず。出ない地域に住んでる人は旅行のとき気をつけてね。調子乗って80キロとか出してるときに横から鹿出てきたらこっちが死ぬので、安全運転で行きましょう。まあ北海道は高速道路も山中をぶった切って通っているので、鹿が出ない保証はないのですが……
その後、結局4時半くらいに眠くなってPAで仮眠を取り、気付いたら7時になっていた。本当は1時間だけ寝て夜明けと共に山を抜けたかったのに、すでに上りきった太陽が車内を照らしていた。暖房をつけたまま口を開けて寝てしまったので、今も喉が少し痛い。
家に着いたのは9時前。結局帰宅したあと昼過ぎまでベッドで寝直したので、荷造りはほとんどやらなかった。
夜通し走って得たもの→喉の痛み
おやすみなさい。