夕方、雪が強まり窓から室内が冷えていっているようだったので、暖房の効率が落ちないように雨戸を閉めた。
三鷹に住んでいた大学時代、センター試験の日に大雪が降って10センチ以上積もったことがあった。翌日は晴れ、試験で休講だったので、キャンパスの隅で友人たちと雪だるまをつくったりして子どものように遊んでいた。友人のひとりがスマホを落としたと騒ぎ出した。探し回るが、雪原の中どこを探してもスマホは見当たらない。着信音も聞こえない。雪面で反射する太陽光に目を細めつつも皿のようにして白い地面に視線を走らせていると、細い長方形の穴が目にとまった。覗き込むとスマホが差し込まれたかのように埋まっていた。ポケットから落ちたときに自身の重みで全長が隠れるほど刺さり埋まったようだった。たしか紫のボディーのAndroidだったはず。雪が積もるといつもこのことを思い出す。当時の友人たちとは疎遠になっている。