出社が再開した。再開初日にもかかわらず電車が遅れ、車両間隔調整のために駅の間で長めに停車する。車内アナウンスで「車両間隔調整のため〜」と言われるといつも、視点が急上昇して駅の前後に何本もの車両が停まっていて様子を見合いパズルのように一つずつ抜けていく様子がイメージとして浮かぶ。その俯瞰へ幽体離脱するような感覚がアナウンスによって強制的に引き起こされる。視点が上に抜ける一瞬はどことなくきもちがいい。
無音の車内に、カチカチとタッタッの間くらいの小さい音が弱く響く。記憶を辿って、そうだスマホのフリック入力の音だ。その設定をオンにしている人をひさしぶりに見た。キーボードやガラケーのタイプ音と同じはずなのに、フリック入力音にはどうしてか人の気持ちをざわつかせるところがある。電車は無事に到着し、走りはしなかったが早歩きして始業数十秒前にオフィスに着いた。
夜、新宿の高架下を歩いているとじぐざぐとすれ違った。阿部さんのすぐあとをジャンプさんが着いていっていた。ジャンプさんは裸眼だった。阿部さんは髪をびっちり決めていたので次のライブへの移動中だったのかもしれない。どんな状況であれじぐざぐを見れるのは嬉しいな。やっぱり外に出るとなにかしら出来事が起こる。