実家のマンションの駐輪場がすかすかになっていた。子どものころはチャイルドシートを装備したママチャリ、子ども用自転車、いろんな高校の色とりどりのシールがお尻に貼られたシルバーの通学用自転車でみっちり詰まっていた。それがいまや、タッチパネル注文が当たり前になり回っている皿はなんか古い気がして誰も手をつけようとせずおすすめの品のポップばかりが行き来している最近の回転寿司のレーンくらいすかすかだった。地面のコンクリートの灰色がよく見える。
この駐輪場はちょっとした屋根があるただのフラットな自転車置き場で、都会にあるような2段ラックの厳密な駐輪場じゃなくてよかった。2段ラックの駐輪場が歯抜けになると、うまれるのは空間ではなく空席だから。空席は埋めなければならないが、空間は埋めなくてもいい。贅沢に使うことが可能。
親はおせちを注文してしまっていた。喪中であることを忘れていたらしい。