とおくで泣いているあなたへ
泪は あなたの生まれたところ うみへとかえるそうです うみは 広くって 天使がそのうみを抱えているそうなんです
天使は あなたが泣いているのを 見つめています
抱きしめることができなくても 見つめることはできるからです
天使は一日のうち日が暮れるまでの半分の時間をかけて羽を広げて揺らすことで風を生むんですって
その時 じつは 微量の光の粒子の妖精たちも生まれていて その光の妖精があなたの泪の海のうえをきらきらと走っています
天使は そんな妖精たちを見つめて泪を零します
天使の泪が流れるとき 流れ星のように見えるそうです
うみは ずっと揺れています 無数のおもいが手を繋いで波をつくっているからです
あなたの泪 あなたの想い
わたしの泪 わたしの想い
みんなが手を繋いでいます
泪はあなたを独りぼっちにするために生まれるのではなくて あなたをひとりにしないために、生まれます
大丈夫 と天使が囁きます
大丈夫なんてことは ないのだけれど、
きっと大丈夫
あなたの泪が海へとかえるなら、きっと広い海のどこかで私たちは手を繋いでいますから
泣いているあなたへ、なみだの海で会いましょう
とおくはとおくじゃなかったり するみたいですよ