スーパーに買い物に行った。午後には神社に寄って、ぼんやりして、病院に行ってきて、その帰りに立ち寄ったスーパー。
いつも品揃えがいい。広くて明るい。店員さんが親切だ。
カートをゴロゴロ前進させていたら、お買い物をしてる人の足にぶつかってしまって、ひどく焦った。私は顔に出るタイプで、きっとめちゃくちゃ慌てた顔をしていたんだと思う。謝罪しまくった。
マダムは私と顔を見合わせながら(彼女から一度も怒りは感じなかった)良いのよ!いいの!大丈夫ですよ!と笑って手を振ってくれた。
私はペコペコしながら生肉コーナーへと向かった。きっと痛かっただろう、びっくりしたはずだろうに、彼女は一度も私に対して怒りの視線を、感情を向けなかった。それがとても柔らかくて、ちゃんと謝れたことがありがたかった。
ペットボトルのお茶を買いたくて、その棚に寄ろうとしたら、ベビーカーを押している若い女性がいた。反射的にサッと、彼女と赤ちゃんが通れるように横にそれたら、女性はニコッと笑ってぺこりと頭を下げてきた。私もつられてぺこっと頭を下げた。
帰り道、重たい荷物を片手にぶら下げながら、先程のやりとりを思い返していた。なんてありがたいことなんだろうと、ジーンとしてしまった。
何気ない優しさのやり取りが好きだ。自分が優しいとは思っていない。けれど、名前も知らない誰かに対して優しくありたいと思っている。その誰かが幸せだったら、世界はちょっと幸せに満ちるのではないだろうか。誰かの幸せが増えたら、巡り巡ってそれは私の幸せになる。現に今、私は少し幸せだ。なんならちょっと涙が出てきた。
優しい人たちが住むこの街が好きだ。ここで生きて、ここで死にたい。今のところはそう思っている。