月のものが終わったので、大國魂神社に行ってきた。
いつもずっと優しい場所だ。先週、所謂「視える人」と会ってきたこと、その人に言われたことについて神様に報告したくて、本殿でご挨拶をしたあとぐるっと本殿をひと周りする道をゆっくりと歩きながら、神様に話しかけていた。
父と母のこと。
私はここで止まらなくてはいけなかったんだと今ならわかること。
私の霊力(の、ようなもの)は高いと言われたこと。
もしかしたらいつか神様の声や姿が見えるようになるかもしれないこと。
(ちなみに助言をくれたその人からは、「あなたは神社仏閣だけではなくて巨石も相性がいいと思いますよ。直感で導かれたところに足を運んでみてください。自然が全部知ってますから」と言われた。石!なんとも素敵な響きだ。)
神様に言った。神様の顔を見て、神様の声を聞いてちゃんと喋れるようになりたい。
私頑張りますね、と話していたら、末社に手を合わせようとしていた老紳士が私のことをちらっと見た。一度またお社に視線を戻したかと思えば、また私を見てきた。そして声をかけられた。
「今から長い祝詞を唱えてしまいますが、大丈夫ですか?」
どうして私にそれを聞くのかわからなくて、もしかしたら私がそこ(分社された神社)にお参りしたい人に見えたのかな?と思い「全然大丈夫です、どうぞ〜」と答えた。祝詞を唱える男性の後ろをゆっくりと通過して、ちょうどあった大きな木に鳥たちが集まっているのをぼんやり見つめていた。そのあと、その隣にある住吉神社に入りたくなって、お参りをしてくるりと振り返ったら、鳥居の下に先ほど話しかけてきた老紳士がいた。会釈をされたので会釈を返した。私がここにいては彼が参拝できないだろう、と思い鳥居の下まで歩いていった。
「あそこは龍が降りる場だと言われているんですよ」
「え?」
「あの、しめ縄がされている、木がある場所です。私の妻の方が詳しいんですけどね。その方角の先に⚪︎⚪︎神社(覚えてない)があるんですよ」
もっと詳しく話してくれたのだが、老紳士がいうには私が見つめていた場所は龍が降りる場所らしい。そうなんだ、知らなんだ…と思ってふと、老紳士に聞きたくなって今度は私から口を開いた。
「どうして私に声をかけたんですか?」
長い祝詞を唱えるけれど、大丈夫か。そう老紳士は私に聞いた。しかも結構遠くから歩いてくる私にだ。わざわざ私に聞く意味がわからなかった。きっと、参拝者というのは他人が何をしていようが文句を言う人なんていないし、他人が拝んでいることを、早く終われとせがむ人もいないだろう。この老紳士はなぜ、あの時私に話しかけたんだろうと疑問に思った。
私は続けて言った。「何か見えましたか?」
老紳士は朗らかに笑った。
「いえいえ、私は何も見えないし、聞こえないですよ。直感です」
直感。直感でこのようなことを話す人がいるのか、と少し不思議な出会いに私は驚いた。
「そうなんですね。ついこの前、視える人に霊力(のようなもの)が高いって言われたので、何か視えるのかと思いました」
「そうなんですか、それはとてもめでたいことですね」
老紳士は、お家の中に神棚を置いているらしい。どなたを祀られてるんですか?と聞いたら、真ん中はもちろん天照大神、そして横に一人いるのがイザナギノミコトらしい。老紳士はイザナギノミコトとご縁があるらしく、その神様を祭る神社の宮司さんにずいぶん可愛がられて育ったと話していた。
参拝していたらまたどこかで出会うこともありましょう、ご縁があればまた、と互いに頭を下げて私はその場を離れ、再び本殿へと戻った。
そしてふと思った。これ、見えない世界につんつんされた?
神様に、話がしたい、声が聞けるようになりたい、お顔を拝見したい、そのために頑張ります、と言っていた私に、見えない世界がつんつんと触ってくれたのかもしれない、と嬉しくなった。神様はいつだって私たちを気にかけてくれている。それがすごく嬉しかった。
後々、このことを友人に話した。「思いこみかもしれないけど、ツンツンされた気がするんだよね」と言ったら、「あ〜神様はそういうことするときあるよね〜。というか、初対面でそういうこと話せる⚪︎⚪︎さん(私)、ほんまピュアやなあ〜」と言われた。ピュアなんだろうか。
でも少なくとも、あの老人は変な人には見えなかったし、とても心が綺麗な人に見えた。だから私も素直に話せた。その偶然を、私は喜びたい。