「そうだ、京都行こう。」
この広告を考えた人は天才だと思う。昔から大好きなキャッチフレーズだ。
そしてこの言葉通り、先日ふらっと京都に一泊二日の旅行に行ってきた。二日で九箇所の神社仏閣を巡ってきた。歩きすぎて、今足の裏がちょっと痛い。
でも、行って本当に良かったと思っている。ものすごくリフレッシュできた。
京都に行きたい、と思っていたのは12月下旬くらいからずっと思っていた。けれど年始に大きな地震もあり、あまりこういった時期に動くのは良くないだろうかと躊躇していた。
でも、ちょうどこれを書いている今日から遡ること3日前、「行きたい!」と思う気持ちがギュンと上がって、ホテルと新幹線を予約した。
京都にいる友人に「突発だけど明日京都行く」と連絡をしたら「勢いありすぎ草」と言われた。確かに我ながら勢いがめちゃくちゃある文面だった。
一番の目的は安井金比羅宮だ。
悪縁を切り良縁を結ぶと言われている神社で、様々な体験談をXで見た。とにかく自分に関わる悪い縁を切りたかった。何せ、2023年が散々だったからだ。
数年前に病を患い何とか仕事をしていたが、結局うまくいかず休職、いきたい業界があったから頑張るも第一志望にも第二志望にも落ちて、異業種でスカウトしてきた企業は最終面接前に謎の高熱が出て、結局落ちた。ちなみにコロナだった。おまけにプライベートで会った会社の社員にセクハラをされた。
もう呪われているとしか思えないから縁切寺に行きたいと思って、微熱程度に治った身体でスマホをいじり「縁切り 有名 寺」とか「縁切り 神社 すごい」などでgoogle検索をかけていた。前々から京都に、ものすごく力の強い縁切り神社があることは噂には聞いていた。自ずと、安井金比羅宮のウェブサイトに行き着いた。
加えて、昔から京都の神社仏閣が好きだった。三十三間堂も清水寺も銀閣寺も大好きだ。
けれど、まだ足を運んでいない神社仏閣がたくさんある。行ってみたい場所がたくさんあったから、出来うる限り巡ってみようと思った。
翌日、早朝に新幹線に乗り9時前には京都駅についた。そのまま、安井金比羅宮まで向かった。
京都は曇りだった。晴れ&曇り時々雨、という予報だったけれど、この時は雨は降っていなかった。ありがたい。
めちゃくちゃ主張していて何だか嬉しくなった。本当に切ってほしい。切実に切ってほしい。
本殿に参拝し、ご挨拶をした。もちろん心の中で。どこから来たかとか、名前とか。
それで、「今から碑をくぐり、縁切りと縁結びをお願いしてきます。よろしくお願いします」と締め括って頭を下げた。
ふと、神社仏閣に詳しい友人から事前にアドバイスをもらっていたことを思い出した。
友人曰く「縁切り縁結び碑でお願いするときは、具体的に書くといいよ。漠然と書いちゃうと神様もわからないからさ〜」とのことで、形代に具体的に切りたいものと結びたいものを書いた。めちゃくちゃ真剣に書いた。
ちなみに、隣にいたマダムは大阪から来た人だったのか、「宝くじ当たってって書いたるわ!あと長寿な!ガハハ!」とお友達と笑っていて、楽しそうだな〜と思った。
有名な縁切り縁結び碑の写真は撮ってない。色んな人の願いが貼ってあったから、あんまり撮るのもな…と思ったからか、書くのに必死だったからか。
そんなに並んでいる人もいなかったので、順番はすぐにやってきた。
碑は絵馬を大きくしたような形で、真ん中に穴が空いている。そこを形代を握りしめながら反対側に潜り抜けて、また潜って帰って来なければいけない。最初は縁が切れるように祈って、帰りは縁を結べるように祈ると良いらしい。
いざ!としゃがんで、アザラシのようにぬるっと潜ったら意外とするりと抜けられた。おお、意外とさらっといける。反対側から戻ってくるのだけれど、足の膝をつこうとしたらお尻がひっかかったので、やっぱりアザラシのようにぬるっと潜るのがいいんだと思う。ちなみに、詰まると結構恥ずかしい。
立ち上がって、碑に形代を貼り付けた。碑は冷たかった。
ひんやりとした静穏が神社を取り巻いている。神社も仏閣も、場の気配がそれぞれ違うよな、と改めて思う。たとえば私の大大大好きな大国魂神社は、優しいおじいちゃんみたいな気配がある。
ここの神社は静かで、何というか、スン……という感じだ。ニコニコ笑っている感じではない。全く怖くないし、むしろ優しいし、話を聞いてくれているけれど、スン……という感じ。偉い人、という感じだ。
御祭神は崇徳天皇だから、なるほど〜と思いながらしばらく境内の中をうろうろしていた。そして、ちょうどいい椅子があったので座って、神社の空気というか、気配に包まれるよう、地蔵のようにそこに居た。
たまたまだが、この日は初金毘羅祭の日で、今年最初の金毘羅大神様の御縁日だった(ウェブサイトに書いてあった)。新幹線もホテルも全部とったあと、神社へのアクセスを考えていたらその文面を見つけて、あ〜呼ばれたのかなあ、なんて思った。
ちなみにウェブサイトには「昨年切れなかった悪縁を新年こそは断ち切りたいという方は、金毘羅大神様にゆかり深いこの日にどうぞお参りください」と書いてあった。穏やかなのに火力高くて笑う。
そういえば、おみくじを引いてない。
社務所の方を見たら普通のみくじと縁みくじがあった。こういうとき、私はシンプルな神様の言葉の方が好きなので大体普通のおみくじを選ぶ。
おみくじを引く前に、口にせずに頭の中で話しかけてみた。
「こういうことがあって、こういう悪縁を切りたくて、そしてこういう未来にしたいなと思ってることがあって、だから、こういう縁がほしいんです。良かったら私にご助言をください。」
で、引いたのはこれ。
優しいなあ、と思った。日本の神様って何でこんなに優しいんだろう。
おみくじは、「この言葉は今自分に言われてるな」という部分がある。その部分が光って見えるというか、色が違うというか。その部分を直感的に受け取って、信じたい。信じるだけなら誰も傷つけないし、誰にも迷惑をかけないから。
社務所を覗いたら、「心機一転御守」という綺麗な御守があって、今の自分にぴったりすぎるな〜と思い購入した。社務所のお姉さんから渡された紙に書かれた言葉があまりにも良すぎたから、ここに記しておく。
「輪をくぐることには、生まれ変わりの意味があります。心機一転御守はこれまでの悪縁を切り、新たな縁を結びたい人のための御守です。
悪縁を切りたいとき、悪習をなくしたいとき、これまでとは違った自分に変わり、何かを始めようとするとき、御守を手に取り、形を確かめ、輪をくぐり抜ける自分をイメージしてください。悪縁が切れ、良縁が結ばれます。」
来て良かったなあとしみじみ思った。ありがとう古都・京都。