本。
西洋絵画やそのモデルや画家の来歴、土地の情勢から「怖さ」を解釈する。
「怖さ」はホラーの意味じゃなくて、処刑の絵についての経緯(→権力争いに散った若き女王の話)であるとか、セイレーンを巡る画家たちの恐怖とか、溺死体の絵のモデルの考察(→娼婦といえば入水という共通認識があった背景)とか、そういう方面のやつ。
絵画を載せつつ並行して解説が続く。死体であること以外でグロテスクな絵はないが、当然自殺・災害・陰謀などの題材ばかりなので、あんまり人に勧めやすいものではない。「ビール通りとジン横丁」の絵は昔何かで見た覚えがある。階段から落ちていく赤子の部分をすごく覚えている。
面白かったけどこれ普通の本じゃなくて、元々ある「怖い絵」シリーズの個展に向けたガイドブックらしい。ど~りで対談とか宣伝とかが多いと思った、読み終わってから気付いた。てことは他のシリーズはもっと詳細な内容なんだろうか?まともなシリーズ本はまた読んでみたい。あるいは大型本でいいからでかめの一冊で欲しい。切り口が平気なら絵画入門書にもなりそう。