朝、慌ただしく準備をして家を出た。泊まりの準備をするのは旅行ぶりで、子どものものを持っていくならこの鞄は小さすぎるな、と気がつく。もう少し大きくなったら新調しどきかもしれない。一目惚れして買った青いスーツケースも、しばらくは出番がなさそうだけれど、そのうちまた一緒に旅する日もくるだろう。
生後4ヶ月を過ぎたし今更かもなと思っていたけれど、想像していた以上に落ち着けるいい体験だった。食事も健康的なものを出してもらえるし、ぼんやりとした困りごとにも答えてもらえる。何より部屋が狭くて床が木なのがいい。こういう部屋って落ち着くな、とぼんやり天井を見上げている。木が好きなのだろう。食器も、アカシアの器がほしいなと思って久しい。
最近は知らない場所に行くといつも緊張した顔をしているのに、ここの人にはずっと笑顔を見せている。何が違うのだろう。預けさせてもらっている間も全然泣かない。私のように、この場所に落ち着いているんだろうか。産まれて3ヶ月ほどいた実家も木の匂いがしていたからかもしれない。
昼間から、夜のような静けさがある。子が泣いて、やっと生活感を思い出すくらい。だからか、寝ている合間に『黒い絵』を読み終えるのはあっという間だった。昨日の夜に一気に読み終えた『おいしいごはんが食べられますように』とはまた違う方向で書架に残すのがためらわれる本で、きっとこの本も手放すだろう。久しぶりに芥川の地獄変を読みたくなった。