ナンバースロットがそろった令和8年8月8日。結婚届を出す人も多いらしい。たしかに自分で決められる記念日というのはそういえば多くないなとふと気がつく。別に今日をスリーエイト記念日に制定したって何も悪いことはないけれど。
久しぶりに一日外に出て遊ばせてもらった。午前中は三菱一号館美術館でカフェに集う芸術家の展覧会を、午後はスープといのちという展示を友達と見た。
カフェに集う芸術家はパリのシャ・ノワールやムーラン・ド・ラ・ギャレットを中心にしてさまざまな画家を取り上げていて、期待以上に楽しめた。後ろから見たキャバレーの素朴な姿を描いたゴッホの絵と、ロイ・フラーを描いたものがかなり良かった。ロートレックのリソグラフはかなり見たことがあったけれど、解説がつくとまた楽しい。今回はかなり解説が分厚くて読み応えがあったし、小展示室のモネとルドンもよかった。一緒に取り上げられていたピサロの方が好きだったけれど。
そのままスープといのちの展示を乃木坂に観に行く。空間をうまく活かして、現代アートらしくさまざまなアプローチからスープを捉えていてかなりよかった。スープをテーマにしたコラージュみたいだ。スープの材料で染めた布や、器から想像した文章の朗読、旅するスープというレシピの展示もあって、歩き回るだけで楽しかった。
私の中で一番色濃いスープの記憶は、ルーマニアで食べたチョルバ・デ・タイツェイ。友達の家に泊まった時に、英語もわからないおばあさんが作って出してくれた。透明なコンソメに細くて柔らかい麺が沈んでいて、にゅうめんのようなやさしさがあった。フォークより箸の方が楽でしょと友達が出してくれたのを使っていたら、驚いた顔をされたことをよく憶えている。
他に記憶にあざやかなスープといえば、実家で出ていた冷汁だ。夏の定番で、きゅうりだけを入れた冷たい味噌汁にシソとミョウガを入れたり入れなかったりする。氷を浮かべてきんと冷えたのが夏の風物詩だった。書いていたら思い出してお腹が空いてしまって困る。そういえば作り方を聞いていなかった。そろそろ聞いておくべきかもしれない。