父にお使いを頼まれて、手帳の中身を買いに行った。はじめて銀座にひとりで行ったのは、その時だった。その後、婚約指輪と結婚指輪を銀座の店で作って、一番色濃い思い出は塗り替えられたけれど、足を運ぶ回数自体が少ないから、これまであの町を歩いた記憶はどれも色濃いままだ。最近は中国からの観光客がどっと増えて、伊東屋さんでも満足に買い物ができなくなったので、すっかり足が遠のいていた。
Taste the World(旧World Breakfast Allday)は、銀座にも店舗がひとつある。ポーランドの朝ご飯だというので、友達と食べに行った。朝ご飯というには少し遅い時間、店は意外と混んでいて、小ぶりの雨の中で真っ青なベンチの席が回ってくるのを待っていた。
ポーランドの朝食のプレートには、ラツーシュキというリンゴのパンケーキ、サワークリームを乗せた薄いジャガイモのパンケーキのプラツキ、トマト入りのスクランブルエッグやハーブ入りソーセージが並んでいた。友達が頼んでいたジュレックも一口もらう。どこかで食べたことがあるような味がした。調べてみると、この酸味を出すにはライムギ粉と水とスパイスを発酵させたものを使うらしい。ちょっと作ってみたいなでやってみるにはややハードルが高いけれど、最近楽な料理ばかりだったので、こういうのにチャレンジしてみてもいいかもしれない。ラツーシュキとプラツキはかなりおいしかったし、今度焼こうかなと思う。
私に合わせてもらって、その後はマリアージュ・フレールの本店を覗きに行った。できたばかりのバシャコーヒーの店舗に比べれば随分空いていたけれど、ほんの3組が中に入れるまでがなかなかに長い。
紅茶はポットひとつ分が1650円から。なかなかのお値段だ。それでも茶葉を100g買えば3500円なので、それを思えばゆったりとお茶を楽しむ時間がこの値段でというのはちょうどいいのかもしれない。
マリアージュ・フレールは、アールグレイ・フレンチブルーが一番おいしいと信じている。青い花びらが茶葉に混ざる見た目の良さも相俟って、教えてもらってからずっとこの茶葉を買っていた。なので今回は別のにしよう……とリュシカ(多分そうだったはず)を頼んでみたけれど、折悪く品切れだという。仕方がないので、ルイボスのアールグレイとやらにしてみた。友達はアールグレイ・フレンチブルーを頼んでいて、
お茶はティーポットいっぱいに入っていて、あれこれと話をしてもなくなる気配はまるでなかった。やってみたいことはいつ話しても尽きない。彼女の専門についての話もほんの少しだけした。データサイエンスの勉強を少し始めてから、彼女やうちの人の見ている景色が少しだけ理解できるようになったのがうれしい。銀座の最新の思い出が、楽しいものになったことも。